橋下徹・大阪市長の「慰安婦」発言が波紋を呼んだ。橋下氏は一部について「不適切だった」と反省したものの、慰安婦発言そのものは撤回していない。今回の発言は、橋下氏の政治家としての資質を厳しく問うものといえる。同氏自身が気づいていない問題の核心を、作家で元外務完了の佐藤優氏はこのように語る。
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慰安婦問題は過去の歴史認識の問題です。しかし、橋下氏は現在のアメリカの海兵隊の性欲処理として、合法的な風俗を使えと言った。このことで、過去の歴史問題を、21世紀の沖縄の問題に転換してしまいました。
アメリカ人の常識では、セックスは“私事”です。どこでしようがしまいが個人の勝手で人から云々される話ではない。「あなたの部下の米兵は戦場の特殊なところにいて興奮してエネルギーがたまっているから、風俗を使え」なんて、余計なお世話です。
米軍にとって、兵士による性犯罪の頻発は極めてデリケートな問題。そんななかでの橋下氏の発言は、日米同盟にも大きな影響を与えかねないという。
米国では、こんな人が政治的な影響力を持っている日本とは、価値観が共有できない、という話になる。なぜその日本人を、アメリカの若者の命をもって守らなければならないのか、日米同盟は必要なのか、というところにまで達する問題です。しかし、橋下氏はその深刻さをまったく理解していない。まさに、政治家の資質が問われる問題です。
※女性セブン2013年6月6日号