【マンガ紹介】
『おんなのいえ(1)』鳥飼茜/講談社・590円
『あさりちゃん(1)』室山まゆみ/小学館/410円
鳥飼茜『おんなのいえ』(講談社)には29才の姉・あり香と25才のすみ香姉妹が登場。あり香は東京で3年同棲した恋人に振られ、大阪に帰省。心身共にボロボロ&やる気のないあり香を見た母は妹に、東京へ行って一緒に住め、と命令します。
しばらくぶりの姉妹の共同生活では、「姉」という生き物(きちんとしている・素直に感情を出せない・妹に対しては感情的)、「妹」という生き物(だらしない・言いにくいことも平気で言う・冷静に姉を観察している)の違いがくっきり。姉妹のいる人は「まさに!」と膝を打つはず。互いにもやもやした感情を抱くふたりを見ていると、姉妹って「女」という生き物同士なんだよね、とあらためて思うのでした。
一方で妹・すみ香が、姉の元恋人に「フェアじゃない!」と姉のために怒り、グーで殴りかかるくだりもあって、思わずジーン。複雑で、面倒くさくて、それでも、仲良し。なんだかんだで、姉妹もいいもんだなと思わせてくれる「リアル姉妹もの」です。
そういえば、今年度のマンガ大賞受賞作・吉田秋生『海街diary』(小学館)も四姉妹ものだし、西炯子『姉の結婚』(小学館)と雁須磨子『つなぐと星座になるように』(講談社)は妹が姉のところに転がり込む、というところまで『おんなのいえ』と同じ設定。「リアル姉妹もの」は注目株なのかも?
そして40代の私にとって「姉妹もの」といえば、これ。室山まゆみ『あさりちゃん』(小学館)! なんと現在98巻、連載35年目に突入の長寿作品です。なつかしいなあ、などと軽い気持ちで読み返してみてびっくり。
ダメな妹・あさりとしっかりものの姉・タタミ、という構造はオーソドックスな姉妹ものですが、ふたりのぶつかりっぷりが尋常ではありません。殴る蹴る髪の毛ひっぱる、は当たり前。噛みつく燃やすとバトルが激しすぎる? 「リアル姉妹もの」の大人姉妹たちとは違い、「女」同士になる前の小学生姉妹の戦いは過激だけれど実にシンプル。のびのびケンカするあさり&タタミの姿がちょっぴりうらやましくも映るのでした。
■文/門倉紫麻
※女性セブン2013年6月6日号