国内

医師レベル低下 患者具合悪いも「彼女の誕生日で休みます」

 医師といえば、昔は「頭のいい人」の象徴だった。しかし、医療や医学の技術が飛躍的に進歩していく一方で、近年、医師の学力低下がさけばれている。少子化と定員増で偏差値60を切る医学部もでているという。その結果、医療の現場では信じられないような事故も起こっていた。

『病院はもうご臨終です』(ソフトバンク新書)の著者で医師の仁科桜子氏は、こう指摘する。

「私は医師がハサミを忘れた現場を見たことがあります。術後のレントゲンですぐに気づき、大事には至りませんでしたが、医療器具は臓器の裏に入り込むこともあるので、本当にあってはならないことです」

 もちろん、医療の現場が過酷であることや、患者を救おうと必死で働いている医師が多くいることは重々承知している。しかし、医療事故の発生要因の9割を占める「医師の経験不足や知識不足」に起因する事例は枚挙に暇がないのだ。

 ここ最近も、報告は相次いでいる。先月末、愛知県内の市民病院が、胃がんを潰瘍と誤診し、治療を約2年放置していたことを公表。

 同じく先月末、横浜市の病院が、女性患者の栄養チューブに高濃度の酢酸液を注入、約2週間後亡くなったことを公表。今月8日には、大阪市が、市内の病院で肛門管がんと診断された女性患者が、直腸を切除後にがんではなかったことが判明し、慰謝料を支払って患者側と和解したことを公表。

 がんでない人をがんと診断したり、がんを見落としたり、わが身や家族に置き換えると、たまったものではない。

 もちろん、取り上げたような事例には、ベテラン医師も含まれ、若い医師だけがミスを犯すわけではない。しかし、今後、学力や能力が疑問視される“医師の卵”たちが、現場に入ってくると、大丈夫なのかといいたくもなるだろう。前出・仁科氏は、既に若い医師の質の低下を感じているという。

「研修医制度が変わり、研修医になる直前の試験の成績で就職先を選択できるようになりました。中には成績だけはいいが、技術ややる気が伴わない医師が人気のある病院に振り分けられることもあります。そこでは、患者さんの具合が悪くても、『5時なので帰ります』とか、中には『彼女の誕生日なので休みます』という医師までいる。信じられないですよね」

 ある病院の中堅医師も、こう嘆く。

「担当医なのにオペに遅刻したり、オペの前日に飲み過ぎたりする。こういう連中を指導するとなると、相当根気がいる。実際に手術を経験させるまでの期間はどんどん長くなっています」

 こうして、能力も経験も不足した“ボンクラ医師”が増えていくのである。

※週刊ポスト2013年5月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
19年ぶりに春のセンバツを優勝した横浜高校
【スーパー中学生たちの「スカウト合戦」最前線】今春センバツを制した横浜と出場を逃した大阪桐蔭の差はどこにあったのか
週刊ポスト
「複数の刺し傷があった」被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと、手柄さんが見つかった自宅マンション
「ダンスをやっていて活発な人気者」「男の子にも好かれていたんじゃないかな」手柄玲奈さん(15)刺殺で同級生が涙の証言【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン