5月下旬になり、全国の6割が真夏日を記録する暑い日(5月22日)もやってきて、汗だくになる季節が目前になった。
臭気判定士という国家資格があるのをご存じだろうか。その試験に合格した臭気判定士たちが、10代から60代の日本人男性の体臭を2006年から2011年まで嗅覚測定した結果が公表され(4月25日)、世の男性を恐怖に陥れている。なんと、日本人男性の9割が“臭い”というのだ。(株式会社マンダム調べ)
暑い季節に24時間、体を洗ってない10代から60代の男性のワキに鼻を近づけ、臭いを嗅いで評価しているというこの調査では、ときどきその臭いのきつさに「えづくことがある」(臭気鑑定士)もあるという。
調査結果によれば、ワキ臭強度を6段階に分けた臭いの存在率は、無臭、やっと感知できるワキ臭でおさまった男性は0%。もっとも多いのは、満員電車だと隣から臭う中程度のワキ臭(密接状態で感じる)が54%。さらに、廊下ですれ違った時に臭うくらい強いワキ臭を33%もの男性に持っているのだという。
臭いのタイプは人の肌と同じ匂いのミルク型、スパイスのクミンのような刺激臭がするカレースパイス型、すっぱい香りがする酸型が主流。カレー型と酸型は不快さが強い臭いで、日本人男性でワキ臭が強い人に多いタイプでもある。つまり、日本人男性の体臭は、実は不快な体臭が多いというのだ。
この数年、夏の暑さはひどくなる一方で、東日本大震災以来の節電ムードが続きクールビズが呼びかけられるなか、常に冷房をかけては過ごせない。大汗をかくのが間違いない夏を迎えるのに、いったい、どうやって臭いを防げばよいのか。若いころから体臭に悩まされ、「加齢臭読本」(草思社)の著者でもある奈良巧さんによれば、「人の体はどうしても臭ってしまうもの」という。
臭いの原因は汗と脂。20代ぐらいまでは汗が多めでツンとした臭いに、30代以降は脂が出てきて酸化することでねっとりした臭いになる。「あの人、臭い」と噂されないためにはどうすればよいのか。奈良さんが解説する。
【1】朝風呂に入る
「人の体臭は風呂に入ってから約12時間後には臭いだします。早い人だと6時間でもう臭う場合も。人前に出る時間から逆算して、なるべく体臭が出づらいタイミングでお風呂に入った方がよいです。お風呂が難しい場合はシャワーを浴びるだけでも違います」
【2】昼休みにはボディシートで体を拭く
「どうやっても臭いは出てきてしまうので、昼休みにはワキ、首、胸、耳の後ろから頭全体、股間を大きめのボディシートで拭きます。ワキには『Ag+』(資生堂)の無香料スプレーを愛用しています。僕にとっては一番、効きますね」
【3】衣服の洗濯に漂白剤を使う
「体臭が衣服に移ったまま、とれなくなっている人が少なくありません。普通の洗剤では汗と脂を洗濯できません。酸素系の漂白剤『ワイドハイターEX』(花王)や『手間なし ブライト』(ライオン)だったら洗剤と一緒に入れておくだけです。これらを加えるだけで、衣服から臭いはきれいにとれます」
【4】加齢臭対策用の石けんを使う
「脂が酸化することで臭う加齢臭は、普通の石けんではとれませんから、対策成分のポリフェノール類が含まれる石けんを使ってください。『柿渋ファミリー石鹸』(ペリカン石鹸)が1個200円弱と安いですし、どこでも買えるので愛用しています。体はゴシゴシこすらずに、石けんの成分が肌に残るよう泡で優しく洗ってください。髪を洗うときは地肌もしっかり。電車の中で臭いが気になる場合は、たいがい頭から臭っているんですよ」
以上は臭いを自覚してからの対策だが、もっとも難しいのは、自分が臭っているのかどうかを知ることだという。臭いに敏感な人と、気軽にコミュニケーションをとれる関係性を気づいていることが大事だ。結婚していれば妻だったり、気の置けない幼なじみや親せきと付き合いが続いていれば、そういう人に尋ねるのもよいだろう。
誰にも、自分の臭いについて聞く勇気が出せないなと思ったら、使っている枕カバーの臭いを嗅いでみるといい。もし、枕カバーが臭うようだったら、あなたもニオイ対策を始めるタイミングだ。