貯金の多い、少ないは収入に必ずしも比例するものではなく、月収で50万円稼いでも貯金は月2万円という家庭もあれば、たとえ月収30万円でも10万円以上貯めてしまう家庭もある。この違いはいったいどこからくるのだろうか。
「お金があっても貯まらない人は、“なんとなく”で物を買い、無駄な支出が脂肪のようにたまるメタボ家計になっているケースが多いですね」
と話すのはファイナンシャルプランナーの横山光昭さん。貯まらない人は、食品などの毎日の買い物から、車などの大型出費まで、一貫して判断基準が甘いため、自覚なく出費が膨らんでしまう。スーパーでレジに並んでいるときから、「あれ、この食材、本当に欲しかったんだっけ? でも、まあいいか」などと考えてしまう人はこのタイプの典型だ。
「逆に収入が低くても貯められる人というのは、どんな小さな買い物でも値段に見合う価値があるかどうかじっくり考えてから物を買います。当然、無駄な出費が減り、貯蓄にまわせる部分が増えるんです」(前出・横山さん)
「貯金力とはすなわち比較力」だとファイナンシャルプランナーの藤川太さんは断言する。それは比較することで、単純にどちらが安いかがわかるだけではない。“激安値下げ”などのPRに惑わされず、自分の目で比較、吟味して買う作業を繰り返すことで、本当にお値打ちなものや、自分にとっての無駄を排除する力が培われていくのだ。
「比較とは自分の価値観を見つめる作業。裏を返せば、比較をしないと、自分が本当に満足できるものもわからないということです。何を買っても満たされなければ、次々にお金を使い続けるスパイラルに陥る。これではいくらお金があっても貯まりません」(藤川さん)
また、比較は目の前の“欲しい!”に待ったをかけられる最強のツールでもある。
「一歩立ち止まって、他のお店ではいくらか調べたり、機能を他商品と比べてみるだけで、衝動買いの失敗が避けられます。また、冷静に考えるうちに、今あるもので代用できることに気づけることも多い。買わずにすむなら、これ以上の節約はないですよね」(節約アドバイザー・丸山晴美さん)
※女性セブン2013年6月13日号