「教科書みたいな人。要するに家では面白くもなんともないけれど、真面目でまちごうてない」
夫・笑福亭仁鶴(76才)について、そう語るのは妻の岡本隆子さん。このほど上梓したエッセイ『そこのけそこのけ仁鶴の女房が通る』(ヨシモトブックス)では、夫との出会いや日常生活などについて、笑いと毒舌を交えて綴っている。
出会いは約45年前のこと。隆子さんは吉本の芸人として舞台に出演していた。その千秋楽、大先輩の仁鶴に誘われ、しぶしぶ食事に行くことに。
「先輩の誘いは断れませんからね。でも、このときのことはよく覚えてません(笑い)。翌日、いつまた仕事で一緒になるかもしれないので、ご馳走になりっぱなしではバツが悪いなと、お弁当を作って持っていったんです。するとオニィさん(仁鶴)はえもいわれぬ笑み。妙な胸騒ぎがしました。勘違いしてると(笑い)」
その翌日、このときもしぶしぶ応じた2回目の焼き肉店での食事。そこで“結婚前提におつきあいを”と申し込まれたという。
「どうやって断ろうかと思って、とりあえず“手帳の末席(いちばん下)につけておきます”と言ったんです。すると、膝をくずしていたオニィさんは、急に正座して、本名や年齢など自分の釣書(身上書)を言い始めた。“まさか真っ先につけていただけるとは、ありがたいなあ”と上機嫌に。
なんと、マッセキにと言ったのが、マッサキに…と勘違いしたようなんです。オーケーをもらったとばかり思ったオニィさんは“結婚式はいつにしましょう”って。私の意向を無視して話が進んでいったんです」
それから10日後には、仁鶴が「あのコを退かせてほしい」と吉本に直訴。引退、そして結婚も決まった。
「退くとか退かすとか、私は花街の女ですか(笑い)。やっぱり弁当を作ったのが運の尽きだったのかもしれません(笑い)」
※女性セブン2013年6月13日号