驚異的なペースでホームランを量産している横浜DeNAのブランコ。5月26日には場外弾を放ち21号まで伸ばしている。このペースで打ち続ければ、シーズン60本近く打つ計算だ。果たして、シーズン本塁打の日本記録55本を超えることができるのか?
スポーツライターの加来慶祐さんがこう解説する。
「昨年と比べて無駄な力が入っていない、いいスイングをしているので、コンディションとしてはものすごくいい状態だと思います。今年は昨年までのナゴヤドームよりも狭い横浜スタジアムが本拠地なので、力まずに打てているのかもしれません」
昨年は統一球が導入されたことで、ホームランが激減したが、今年は、ボールが飛びやすくなったとわれており、こうしたこともプラスに働いているようだ。
しかし、ブランコに立ちはだかるといわれているのが、外国人選手が王貞治さん(現・ソフトバンク球団会長)の日本記録55本を破ることへのさまざまなプレッシャーだ。これまでも多くの外国人選手が、記録に迫りながら結局、達成することができなかった。
1985年、阪神・バースが55本まであと1本と迫った公式戦の最終ゲーム。巨人バッテリーからまったく勝負してもらえず、5打数4四球に終わった。2001年にはシーズン終盤の試合、55本に並んだ近鉄・ローズが、ダイエーバッテリーのボール攻めにあい結局、タイ記録でシーズンを終了。その翌年には、西武・カブレラがシーズン7試合を残しながら連日、敬遠攻めにあい、55本どまりだった。
「バース、ローズのときは相手チームの監督は王さんでした。でも、王さんが指示したわけではなく、コーチ陣やバッテリーの判断だったようです。それだけ周囲にとって王さんの記録は破るべきはでない絶対的なものという考えが強いのです。当時、はっきりと“いずれ帰国する外国人選手に、王さんの記録を破られるわけにはいかない”と話すコーチもいましたからね」(スポーツ紙野球担当記者)
ブランコにも、早くもファンから「同じことが繰り返されるのではないか」という心配の声が出ているが、加来さんは、新記録達成には今後のペースが重要だと指摘する。
「ブランコはなるべく早い段階で50本台に乗せることが記録達成のカギとなるでしょう。8月の終わりか9月の前半に50本に乗せることができれば、残りのシーズンが1か月以上となりますから、そうなれば、55本を抜く可能性はぐんと高まる。さすがに残り試合すべてで、勝負を避けられることはありえないですからね」
死球を受け2試合の欠場後、31日から復帰し、ファンの大歓声を受けたブランコ。ホームラン量産へますます期待が高まっている。