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【ドル円週間見通し】米雇用統計と安倍政権の成長戦略に注目

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、6月3日~6月7日のドル・円相場の見通しを解説する。

 * * *
 今週のドル・円は、米国5月の雇用統計、安倍政権の成長戦略を見極める展開となる。ドル高・円安材料としては、米国5月の雇用統計の改善、米国10年債利回りの上昇、東京株式市場の堅調推移、貿易赤字の継続、成長戦略でのポジティブ・サプライズ。ドル安・円高材料としては、米国5月の雇用統計の悪化、日本国債10年物利回りの上昇、東京株式市場の軟調推移。

【年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用弾力化】
 6月から年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資金配分が行われる模様で、安倍政権の成長戦略に合致する形で、安倍トレード(日本株買い・円売り)に拍車がかかる可能性が高まっている。

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2012年12月末の運用資産額は、111兆9296億円。内訳は、国内債券が67.3兆円(60.14%)、国内株式が14.5兆円(12.92%)、外国債券が11兆円(9.82%)、外国株式が14.4兆円(12.90%)。現行の基本ポートフォリオは、国内債券が67%(乖離許容幅±8%)、国内株式が11%(±6%)、外国債券が8%(±5%)、外国株式が9%(±5%)。

【成長戦略第3弾】(5日)
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」の「第3の矢」である成長戦略は、第1弾では女性の活用、第2弾で農業・産業の競争力強化を打ち出された。第3弾では、インフラ投資に民間のお金を使う「PFI(民間資金活用による社会資本整備)」制度の規制緩和、国が主導して税制優遇などを行う特区制度、ベンチャーへの投資を減税する「エンゼル税制」の拡充が盛り込まれる。ポジティブ・サプライズは、法人税減税となる。

【米国5月の雇用統計】(7日)
 バーナンキFRB議長は、議会証言で「もし、景気や労働市場の改善が続き、それが持続するとの自信があるのなら、われわれは今後数回のFOMC 会合で、長期債買入れプログラムの減額を行う可能性がある」と発言した。

 米国5月の雇用統計(予想:失業率7.5%、非農業部門雇用者数+16.5万人)が改善していた場合は、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で出口戦略が協議される可能性が高まり、ドル買い要因、悪化していた場合は、ドル売り要因となる。

【日本の5月上中旬貿易収支】(7日)
 日本の5月上旬貿易赤字は-8906.87億円を記録、上中旬も大幅な貿易赤字が予想されており、ドル・円を下支える要因となる。

【ダブルノータッチ・オプション(97円~104円)】
 ドル・円は、大口のダブルノータッチ・オプション(97円~104円)が噂されており、104円に接近した場合、防戦売りで上げ渋る展開、97円に接近した場合、防戦買いで下げ渋る展開が予想される。

 6月3日~7日に発表される主要経済指標のポイントは次の通り。

○(米)5月ISM製造業景況指数 -- 3日(月)日本時間午後11時発表
・予想は、50.5
 先行性のある同指標内訳の4月「新規受注DI」は52.3←3月51.4と拡大。既公表の5月の各地区連銀指数は、NY、フィラデルフィアは低下、カンザスシティーは改善とまちまち。新規受注DI拡大で好不調の分かれ目となる50は維持する見込み。

○(米)4月貿易収支 -- 4日(火)日本時間午後9時30分発表
・予想は、-410億ドル
 4月ISM製造業の内訳「輸出受注」DIは54.0←3月56.0、「輸入」DIは55.0←同54.0で、輸出低下・輸入上昇となったため、赤字拡大要因。4月原油価格に大きな変動はなく、貿易収支にとってはほぼ中立要因。3月実績の-388億ドルの赤字からは赤字幅は拡大する公算。

○(米)5月ADP雇用統計 -- 5日(水)日本時間午後9時15分発表
・予想は、+17.0万人
 調査対象期間の週の新規失業保険申請件数は、5月34万件←4月35.2万件と減少。新規失業保険申請件数は緩やかに減少しているが、今後は求職者数の増加も想定されることから、大幅な減少は見込めない。ただし、4月+11.9万人との比較では就業者数の増加が予想される。

○(米)5月雇用統計 -- 7日(金)日本時間午後9時30分発表
・予想は、非農業部門雇用者数は+16.8万人、失業率は7.5%
 調査対象期間の週の新規失業保険申請件数は、5月34万件←4月35.2万件と減少。新規失業保険申請件数は緩やかに減少しているが、今後は求職者数の増加も想定されることから、大幅な減少は見込めない。他の雇用関連指標の発表を待つ必要があるが、非農業部門雇用者数は4月+11.9万人との比較で雇用者数は増加する見込み。失業率については総労働時間に大きな変動がなく低下は考えにくい。4月と同水準の7.5%となる可能性が高い。

 主な予定は、4日(火):(米)5月国内自動車販売、5日(水):(米)5月ISM非製造業景況指数

【予想レンジ】
・ドル・円98円00銭~103円00銭

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