【書籍紹介】『暮れていく愛』鹿島田真希/文藝春秋/1575円
夫が浮気しているかもしれない。結婚10年目で妻が抱いた漠然とした不安。そんな妻と暮らしながら、目に見えない重圧を感じる夫。〈いい香りのする洗濯物。飽きない手料理。穏やかで文句一つ言わない妻。
そんな家にいることが今、非常に苦痛だ〉。互いに優しく接するほど本当の気持ちを伝えられず、それぞれが殻に閉じこもるように自分の過去の記憶をさかのぼっていく……。第147回芥川賞受賞作家が、揺れ動く男女の内面を綴る。
※週刊ポスト2013年6月14日号