橋下徹・大阪市長の風俗発言に伴って業界への注目が増しているが、日本には“本番”はないものの男性を射精に至らせるサービス形態がさまざまある。
細分化する風俗業の法的根拠となっているのが、1948年に制定され、その後たびたび改正されている「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」、通称「風営法」である。風営法に詳しい行政書士の雨堤孝一氏が解説する。
「風営法は、『風俗営業』と『性風俗関連特殊営業等』に大きく分けて規定しています。『風俗営業』は法律で許可されている業種で、パチンコや雀荘、キャバクラなどが入ります。
性風俗は後者で規定され、ソープやヘルス、ストリップは『店舗型性風俗特殊営業』、デリヘルは『無店舗型性風俗特殊営業』として規定される。これら性風俗については『許可制』ではなく『届け出制』で、国が認めているわけではない。『許可は与えないがやるなら届け出てください、肯定も否定もしません』という姿勢。つまり、違法ではないが完全な合法とはいえないのが現実です」
橋下氏のいう「合法的な風俗」が何を指すかは明らかではないが、「合法とも違法ともいえない」位置づけに加え、風営法で規定されたもの自体、実は建前に過ぎない。『新・フーゾクの経済学』の著者で風俗評論家の岩永文夫氏はいう。
「ソープランドは風営法で『浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業』と規定されており、当たり前ですが本番うんぬんの記述はない。建前上、『浴場』なので、それに合わせた規制があり、ベッドはマッサージ台だから幅50センチを超えてはいけないとか、鏡も浴場に合わせた30センチ四方を超えてはいけないとかあるんです。
他のフーゾクでも、新しいサービスが出ると後追いで法が規制する形が取られていった。行政が法的な逃げ道を用意するかのようで、風俗業界がさまざまな業態を生み出すのと相乗効果で、グレーで多様な風俗が発達することになったのではないか」
※週刊ポスト2013年6月7日号