はからずも橋下発言から明らかになったのが、日本の風俗の特殊性だ。違法でも合法でもないグレーゾーンの象徴ともいえるのが、橋下徹氏が市長を務める大阪市西成区にある風俗街、飛田新地である。
飛田新地は大正時代以来、1958年の売春防止法施行まで「遊廓」として栄えたエリアで、いまは「飛田新地料理組合」に加盟する「料亭」が軒を連ねている。飲食店として警察に届け出て営業しており、1階の入り口に座った女性と2階に上がると、部屋にお茶とお菓子が運ばれてくる。これが「料理」なのだ。その後、客と女性は、偶然にも“恋愛関係”になったという体裁で、売春が行なわれる。
「飛田新地は、キャバクラと同じ『風俗営業』の許可を得ている。店の女性は、法律上はあくまでお酌などをするだけで、表向きは性風俗ではない」(風営法に詳しい行政書士・雨堤孝一氏)
売防法の施行時に頭を悩ませた業者側が、苦肉の策で考え出したのが「料亭」での「自由恋愛」という建前だった。このグレーゾーンが黙認されてきたのがこの国の風俗である。
※週刊ポスト2013年6月7日号