会議とは本来、関係者による意思決定のための集まりである。ところが、日本企業での会議は、準備に時間がかかり、会議そのものにも時間がかかり、それなのに決まらず終わることも珍しくない。これまでもたびたび日本企業の問題として働き方についてとりあげてきた大前研一氏が、日本企業の会議の問題点について指摘する。
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日本の多くの企業とホワイトカラー社員は「働き方」という点で、世界の潮流から完全に取り残されている。
たとえば、日本の会社は会議が多い。しかも、たいてい「これは非常に重要な問題で……」と始まり、「軽々に結論は出せない」で終わる。たとえば1時間の会議なら、担当者があらかじめパワーポイントなどで準備した何十ページもあるような分厚い資料を50分くらいかけて説明し、質疑応答や議論の時間は最後の10分ほどしか残らない。したがって意見がまとまらず、結論も出ないというパターンになってしまうのだ。
また、日本のホワイトカラーは、会議に出ていると仕事をしている気になる。しかし、実際には会議で全く発言しない人が多い。下手に質問したり、異論を唱えたりしたらカドが立つとでも思っているのか、ずっと俯(うつむ)いて会議が終わるのを待っている。
つまり、サラリーマンの予定の多くはムダな会議なのである。いつも「忙しい、忙しい」といっている人たちは一度、自分の手帳を見て過去1年間のスケジュールを振り返り、記憶に残っていない会議がどれだけあるか、その理由は何なのか、真摯に反省すべきだ。時間は短くても集中して議論できるような工夫をすれば、会議は現在の10分の1に減らせるはずである。
本当に実のある会議とは、外部(または部外)の人間に入ってもらって議論を戦わせるブレインストーミングだ。会議は、内部の人間だけだと異論が出ない。外部の人間から違った視点の意見を聞いたほうがフレッシュな議論になる。今は「スカイプ(Skype)」の無料ビデオ通話もあるので、ボーダレスなテレビ会議や15人くらいの会議も簡単にできる。
ところが、未だに多くの日本企業は社員だけで内輪の会議を続けている。これでは世界に通じる議論ができないし、そのような能力も身に付かない。
※週刊ポスト2013年6月14日号