年金の支給開始年齢が引き上げられたことにより、私たちの老後の生活に大きな影響が及んでいる。そもそも年金には、自営業者や専業主婦が受け取る「国民年金」と、会社員が受け取る「厚生年金」の2種類があるが、今年4月から男性の厚生年金の支給開始年齢が引き上げられた。
60才だったものが、61才へ引き上げられ、今後も3年ごとに1才ずつ引き上げられ、最終的に2025年度に65才からの支給になる(女性の支給開始年齢の引き上げは、5年遅れでスタートし、2018年4月から。65才への引き上げが完了するのは2030年度)。
国民年金はもともと65才からの支給となっているので、これまでと変わりない。この年金支給開始年齢の引き上げに伴って、今年4月からは60才以降の雇用に関する制度の改正も同時に行われた。多くの企業で定年は60才となっていたが、給料も年金ももらえない「空白期間」を補うために、企業が社員を65才まで雇用することが義務付けられたのだ。
「65才まで継続雇用されるとはいっても、60才以降はそれまでの収入の5割程度になるとみられています」
こう説明するのは、社会保険労務士の北村庄吾さん。それまでに、充分な蓄えがあれば問題ないが、老後といえども働くのが当たり前の時代になってくる。とはいえ、給料は激減するとなると、当然その不足分をどうするか考える必要がある。
「将来受け取れる年金の見込額と退職金を考えて、若いうちから夫婦で老後の生活設計を考えておくことが大切です。また、老後に備えて、子育てがひと段落した主婦は、パートに出たり、資格にチャレンジして収入アップを目指し、家計を支えることも重要になってきます」(北村さん・以下同)
パートに出たり、資格を取るなら、夫が定年になってからではなく、今から始めることが大切だ。
「専業主婦だった人が、60才を過ぎていきなり社会に出るのは難しいものです。遅くとも50才までに始めるべきです。今後アベノミクスで景気が回復してくれば、パートの需要が増えるので、今は働き始めるチャンスでもあります」
※女性セブン2013年6月20日号