少子化、晩婚化が進むなか、「息子夫婦になかなか子供ができない」「娘は“結婚は40歳になってからでいい”というが、出産は大丈夫なのか?」などと気を揉んでいる人も多いかもしれない。
これまでは、「射精の回数が多いと精液が薄まって妊娠しにくくなる」という説が広く知られ、妊娠するために、数日間禁欲し、精子をためてからセックスするというカップルも多い。だが、これは迷信にすぎないと石川病院泌尿器科部長で男性不妊症専門医の石川智基医師は指摘する。
「今でも婦人科医のなかには、精液検査をする時には5~7日間は射精せず禁欲することを推奨する医師も多い。しかし、精子は毎日作られるものです。射精せずにいると、精子は精巣上体という部分にたまり、古くなるにつれ動きが悪くなります。
また、射精されるまでの期間が長いと、酸化ストレスなどによって精子の頭部にあるDNAが損傷を受ける。精子の動きが悪ければ妊娠しにくくなり、DNAの損傷率が高いと、妊娠しにくくなるだけでなく、流産する危険性も高まるのです」
作られた精子は精巣上体に10日間ほど貯蔵されるが、使わずにいると質が劣化し、やがて死んで吸収される。死滅した精子からは活性酸素が発生し、新しい精子に悪影響を及ぼすという。セックスをしなくてもいいので、週3回は射精したほうがよいそうだ。射精回数を増やすと精液の量が減ることがあるが、精液中の精子の濃度はあまり変わらず、質のいい精子が増えるという。
※週刊ポスト2013年6月14日号