昨年11月以降、実に半年以上も上昇を続けた日本株だったが、「暗黒の木曜日」以降、下落傾向が続いている。
しかし、こうした中でも、上昇トレンドを崩していない銘柄がある。全体相場の下落につられて、そうした潜在力を持つ銘柄も下落傾向にある今、絶好の押し目買いのタイミングが到来しているというのだ。
そこで、投資のプロに、乱高下相場の今だからこそ注目すべき、「それでも上がる」銘柄をピックアップしてもらった。
金融情報提供会社フィスコの情報配信部株式アナリスト・田代昌之氏はこうアドバイスする。
「この乱高下の調整が落ち着いた後、海外機関投資家などの資金が再び入り易い大型株が狙い目。加えて、PBR(株価純資産倍率)面などでいまだに割安感が大きく、チャート面でも上昇トレンドが維持されている銘柄を、全体相場に共連れして安くなっているうちに仕込むことがお勧めです」
その観点から、田代氏はスクリーニング条件として、「東証1部銘柄で時価総額500億円以上」、「PBRが1倍割れ」、「現在の株価が25日移動平均線および26週移動平均線を下回っていない」の3点を挙げる。
25日移動平均線は短期的な、26週移動平均線は中期的なトレンドを見る指標で、そのいずれよりも株価が上にあれば、その銘柄は上昇トレンドを続けていると見ていいという。
この3条件を満たした上で、田代氏はさらに「アベノミクスの成長戦略の恩恵が期待できる」というポイントで精査を重ねた。その結果、挙がったのが石油資源開発、西松建設、きんでん、双日、ITホールディングス、トクヤマ、ミツミ電機、Paltac、日本郵船、沖縄電力の10銘柄だ。
この中には、「TPP」や「国土強靱化」、「シェールガス・オイル」など、テーマ性でも期待が膨らむ銘柄が並ぶ。
「中でも投資妙味がありそうなのが、総合商社の双日です。もしTPPに日本も参加となれば、同社の主力である肥料事業がタイなど東南アジア市場で売り上げ増が期待されるなど、業績も株価も一気に“花咲く”可能性が期待できます」
次いで、田代氏は、ダム、トンネルなど土木系に強みを持つ西松建設を推す。「国土強靱化」政策によりトンネル修復などの受注が増え、中長期的に恩恵を享受できる可能性がある。
※週刊ポスト2013年6月21日号