ビジネス

ホリエモン「六本木ヒルズに匹敵するのはマリーナベイくらい」

六本木ヒルズを見上げる堀江貴文氏

 六本木ヒルズが10周年を迎えた4月25日、レセプションパーティの壇上に立った森ビル・辻慎吾社長は、こう挨拶した。「都市の主役は人であるということを改めて実感した10年間でありました」──。

 確かに六本木ヒルズの10年を振り返れば良くも悪くも、「人」が主役だった。その象徴たる人物が旧ライブドア元社長、ホリエモンこと堀江貴文氏が、ヒルズとの10年を振り返った。

 * * *
 六本木に住んだのはたまたまっすよ。別にこの街に憧れがあったわけではない。

 オン・ザ・エッヂ時代に最初に入居した雑居ビル(港区六本木三丁目)も、創業メンバーの家族に紹介された大家さんが、倉庫代わりに使っていた7畳ぐらいの部屋を保証金なしで貸してくれるっていうから決めただけ。その頃は、忙しくて遊ぶ時間がなく、毎晩深夜3時まで働いて、叙々苑で焼き肉食べて、ゲーセンに寄って会社で寝る生活を繰り返すだけでした。だから六本木に思い入れなんてないんです。

 六本木ヒルズのオープンと同時に、ライブドアの本社を移転したのも、それまでのオフィスが手狭になったという理由しかない。上場企業の経営者が憧れや見栄でオフィスを選ぶわけないじゃないですか。

──しかし、六本木ヒルズの磁場に吸い寄せられるように、ライブドアと共に楽天やヤフーといったIT企業、さらにはゴールドマン・サックスといった外資系証券会社も入居。2005年以降に起こったフジテレビ・TBSなどテレビ局買収戦争では彼ら「ヒルズ族」が主役となる。彼らが共謀しているかのように報じたメディアもあった。

 企業同士が申し合わせて本社を移転してきたわけではないので、騒動の間も裏で結託するようなことはなかったです。

「ヒルズ族」と呼ばれたことに関しては、別に悪い気もしなかったですよ。仲間内で「俺らヒルズ族って呼ばれているらしいよ」と冗談を言い合うぐらい。よく「(オフィスタワーの51階にある)六本木ヒルズクラブでパーティしていたんですか?」とか「(レジデンス内で)合コンしていたんですか?」とも聞かれるんです。

 だけど僕はヒルズクラブのパーティに参加したことがないし、同じマンションの住人と合コンもしたことがない(笑)。それは世間が勝手に抱いた僕のイメージでしょう。

──2006年1月に堀江氏は証券取引法違反容疑で逮捕され、後にライブドアショックと称された。2011年6月に都心を見下ろす広大なレジデンスタワーの住まいから、狭い東京拘置所(後に長野刑務所)の塀の中へ。まさしく天国から地獄だった。

 刑務所に入って一番つらいのは友達と連絡をとれないこと。部屋が狭いとか布団がくさいとか、そんなことって実はどうでもいいんですよ。そもそも僕自身もヒルズの広い部屋に住みたくて住んでいたわけじゃない。じゃあなぜ住んでいたかというと、職場に近いから。掃除は自分じゃできないからダスキンさんにお願いしなきゃいけないし、余計なコストばかりかかるんですから。

 ただ、1980年代から計画されてきた建物だけあって、インテグレーションは見事だと思います。たとえば、僕が住んでいた部屋からは東京タワーが見えたんですけど、その角度が計算し尽くされていて絶妙なんです。東京タワーをはじめ東京の町並みを借景に使って、六本木ヒルズという建物のブランド価値を高めている。

 ヒルズに匹敵するような商業施設は、世界を見ても、シンガポールのマリーナベイ地区ぐらいかなあ。10年経ったけどブラッシュアップされている印象があります。

■堀江貴文(ほりえ・たかふみ)1972年生まれ。ライブドア元代表取締役。2006年証券取引法違反容疑で逮捕、2011年収監、今年3月仮釈放される。

撮影■渡辺利博

※週刊ポスト2013年6月21日号

関連記事

トピックス

東日本大震災発生時、ブルーインパルスは松島基地を離れていた(時事通信フォト)
《津波警報で避難は?》3.11で難を逃れた「ブルーインパルス」現在の居場所は…本日の飛行訓練はキャンセル
NEWSポストセブン
別府港が津波に見舞われる中、尾畠さんは待機中だ
「要請あれば、すぐ行く」別府湾で清掃活動を続ける“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(85)に直撃 《日本列島に津波警報が発令》
NEWSポストセブン
宮城県気仙沼市では注意報が警報に変わり、津波予想も1メートルから3メートルに
「街中にサイレンが鳴り響き…」宮城・気仙沼市に旅行中の男性が語る“緊迫の朝” 「一時はネットもつながらず焦った」《日本全国で津波警報》
NEWSポストセブン
津波警報が発令され、ハワイでは大渋滞が発生(AFP=時事)
ハワイに“破壊的な津波のおそれ” スーパーからは水も食料品も消え…「クラクションが鳴り止まない。カオスです」旅行者が明かす現地の混乱ぶり《カムチャツカ半島地震の影響》
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月16日、撮影/横田紋子)
《モンゴルご訪問で魅了》皇后雅子さま、「民族衣装風のジャケット」や「”桜色”のセットアップ」など装いに見る“細やかなお気遣い”
夜の街での男女トラブルは社会問題でもある(写真はイメージ/Getty)
「整形費用返済のために…」現役アイドルがメンズエステ店で働くことになったきっかけ、“ストーカー化した”客から逃れるために契約した「格安スマホ」
NEWSポストセブン
牛田茉友氏はNHKの元アナウンサーだったこともあり、街頭演説を追っかける熱烈なファンもいた(写真撮影:小川裕夫)
参院選に見るタレント候補の選挙戦の変化 ラサール石井氏は亀有駅近くで街頭演説を行うも『こち亀』の話題を封印したワケ
NEWSポストセブン
大谷家の別荘が問題に直面している(写真/AFLO)
大谷翔平も購入したハワイ豪華リゾートビジネスが問題に直面 14区画中8区画が売れ残り、建設予定地はまるで荒野のような状態 トランプ大統領の影響も
女性セブン
技能実習生のダム・ズイ・カン容疑者と亡くなった椋本舞子さん(共同通信/景徳鎮陶瓷大学ホームページより)
《佐賀・強盗殺人》ベトナム人の男が「オカネ出せ。財布ミセロ」自宅に押し入りナイフで切りつけ…日本語講師・椋本舞子さんを襲った“強い殺意” 生前は「英語も中国語も堪能」「海外の友達がいっぱい」
NEWSポストセブン
大日向開拓地のキャベツ畑を訪問された上皇ご夫妻(2024年8月、長野県軽井沢町)
美智子さま、葛藤の戦後80年の夏 上皇さまの体調不安で軽井沢でのご静養は微妙な状況に 大戦の記憶を刻んだ土地への祈りの旅も叶わぬ可能性も
女性セブン
休場が続く横綱・豊昇龍
「3場所で金星8個配給…」それでも横綱・豊昇龍に相撲協会が引退勧告できない複雑な事情 やくみつる氏は「“大豊時代”は、ちょっとイメージしづらい」
週刊ポスト
NYの高層ビルで銃撃事件が発生した(右・時事通信フォト)
《5人死亡のNYビル乱射》小室圭さん勤務先からわずか0.6マイル…タムラ容疑者が大型ライフルを手にビルに侵入「日系駐在員も多く勤務するエリア」
NEWSポストセブン