コンプライアンスだなんだといっておきながら、テレビ局は視聴率を稼ぐために「セクハラ行為」そのものを番組化している。その対象となるのは、もっぱら社員である女子アナたちだ。山岸舞彩アナのようなフリーならともかく、局アナたちは「番組を盛り上げるために必要」「あくまでも演出の上でのこと」といわれれば、内心ではセクハラと思っていてもその方針に従うしかない。だからバラエティ番組は、女子アナの「オンナ」を売りにした企画で溢れているのである──。
フジテレビのあるディレクターは、こう断言する。
「ウチの局の35歳以下の女子アナで、“コスプレ未経験者”はまずいない。メイド服、セーラー服、体操服……。みんな何かしらやっていますね。制作の連中の中には、“あの女子アナの○○姿が見たいから”という理由で、企画を考えているヤツもいる」
確かに、インターネットで過去の番組映像を集めれば簡単に「女子アナコスプレ写真集」が出来上がるほど、女子アナたちは色々な格好をさせられている。
たとえば不動の人気ナンバーワンである、フジテレビの加藤綾子アナ(28)。ナース姿に、ミニスカサンタ、ウェディングドレス……。もうありとあらゆるコスプレを経験済みだ。人気番組『リアルスコープZ』では、さしたる意味もなく身体のラインがバッチリ出たキャンペーンガール風のワンピースを着ている。
同局の若手ホープ・三田友梨佳アナ(26)は、セーラー服のコスチュームで歌手デビュー。スカート丈は、普通の高校ならおそらく校則違反となる短さである。ある番組関係者はいう。
「一般企業の忘年会で、上司が女性社員にこんな格好をさせたら一発アウトでしょうが“番組上の演出”といえば彼女たちはやらざるを得ない。視聴者たちも見たい“画”ですからね。公然とセクハラしてるようなもんですよ」
女子アナへの「セクハラ行為」がテレビ番組の「キラーコンテンツ」と化したのは、1990年代初頭のことである。
1993年、『スーパージョッキー』(日本テレビ系)の「熱湯コマーシャル」コーナーでは、当時アイドル的人気を誇った藪本雅子アナ(45)が、ルーレットで指名され水着姿で熱湯に入浴した。本人は嫌々ながらも「お給料上げてもらえるのかしら?」と周囲を和ませた。しかし放送後、各方面から「社員にそんなことをさせるなんて!」と猛抗議が寄せられた。
同時期の深夜番組『殿様のフェロモン』(フジテレビ系・1993~1994年放送)では、女性が股間に「ハケ水車」をあてるコーナーが大人気となった。その際、サブ司会の八木亜希子アナ(47・現フリー)が、あまりの下品さに困惑する様子が画面に映し出された。
※週刊ポスト2013年6月21日号