中国では、豚や鶏などの家畜に成長促進のために過剰にホルモン剤を投与したり、病気にさせないために何十種類もの抗菌剤をエサに混ぜて飼育したりする農家も多いといわれる。
つい半年前は、中国ケンタッキー・フライド・チキンが「成長ホルモンと抗生物質を過剰に投与した鶏」を使用していたことを認めて謝罪し、世界的なニュースにもなった。
「中国では数年前に、オリンピック選手に自国の豚や鶏を食べさせないよう、食材調達先を変えています。理由は、ホルモン剤の影響で、選手たちがドーピング検査に引っかかってしまうから。中国人にとって、自国の食材が生産面でも衛生面でも“食の安全”とは程遠い状況であることは“常識”なんです」(北京在住ジャーナリスト)
環境汚染も悪化の一途をたどっている。
「中国の環境汚染は、深刻な状態です。もう安全に作物が作れる場所はどこにもない。水も土壌も工場からの排水や大気汚染によって汚れ、地中も地下水も汚染濃度は上昇する一方です」
と話すのは、中国の環境問題に詳しい、京都大学名誉教授の松井三郎さん。
「有害物質のかたまりである汚泥の処理技術が未発達で、出る量に処理がとても追いつかず、農地や川に捨てられているんです」(松井さん)
そしてついにこの5月、主食である米からも、四大公害病であるイタイイタイ病の原因となったカドミウムが検出され、中国でもパニックとなっている。
「広東省の米がカドミウムに汚染されている疑惑が報道され、広東省が市民の不安を抑えるため検査をしたところ、逆に多くのサンプルからカドミウム米が検出されてしまいました。政府はできるだけ北部で生産された米を食べるように指示を出しましたが、“他の地域だから安全”という保証はゼロ。誰も信用していません」(前出・北京在住ジャーナリスト)
※女性セブン2013年6月27日号