金利の先行きが見えにくいなか、各金融機関は顧客獲得のために新たな住宅ローン商品を開発している。メガバンク関係者が次のように話す。
「巷では金利上昇不安から固定の申込者が急増しています。しかし、住宅ローンを手がけている金融機関では、あの手この手の金利引き下げ競争が激化しているんです。その理由は、来年の消費増税を睨んで、これから住宅の購入者が増える。そのお客様たちを取り込みたいからです」
たとえば三井住友銀行は、3年固定型の当初金利を従来の1.5%から0.6%へと大幅に下げることを決め、この6月3日から申し込みの受付を開始した。これは、金融機関の融資増加の促進を目的に日銀が導入した「貸出増加支援制度」を利用し、低利で調達した資金を使うもので、0.6%という金利は同行としては過去最低の利率となる。
「発表してすぐに数百件の問い合わせや相談がありました」(同社広報部)
また、日銀の支援制度を利用せず、三菱東京UFJ銀行は1年固定0.5%を、みずほ銀行は2年固定0.55%などの商品を次々に投入する見通しだ。
他にも隠れた「お宝住宅ローン商品」はまだある。三井住友信託銀行は働く女性の支援を目的に、女性専用の住宅ローン『エグゼリーナ』を販売。変動でも固定でも出産後1年間は年0.1%金利が優遇される。銀行が保険料を負担して入院給付金が支給される医療保険に加入できる―といったメリットがある。
福岡ひびき信用金庫は、「子供の数が一定以上」であること、「エコ住宅」であることを条件に金利を優遇している。「子宝住宅ローン」制度は、子供が2人だと0.1%、3人だと.0.2%、4人以上だと0.3%金利が優遇されるというものだ。「エコ住宅ローン」制度では、太陽光発電設置やオール電化住宅、都市ガスによるエコ住宅で、最大0.2%の優遇が得られる。
目先の金利動向に惑わされず、賢くローンを利用したい。
※週刊ポスト2013年6月21日号