NHKの朝ドラ『あまちゃん』(脚本・宮藤官九郎)の快進撃が止まらない。6月10日には過去最高視聴率となる22.1%を記録。昼や夜(BS)、週末の再放送、録画視聴などを含めると、視聴率は50%を超えるといわれるほどだ。劇中に何度も登場する驚いた時の方言「じぇじぇじぇ」は、流行語大賞どころか、“標準語”として定着しそうな勢いである。
おじさん世代の視聴者が多いのも、従来の朝ドラにはない傾向だ。
「主人公のアキは自分の娘みたいにかわいいし、キョンキョン(小泉今日子)が、ほとんどスッピンで母親役をやっているのも新鮮。彼女は娘に向かって『ブス』とか『バッカで~』とか毒を吐くんだけど、全然辛辣に聞こえないから不思議。海女のオバチャンたちの会話といい、とにかく観ていて楽しいよね」(50代男性)
と、これまで朝ドラとは縁のなかった中高年男性からも絶賛の声が。上智大学教授(メディア論)の碓井広義氏も、1日に2回観るほどのファンだ。
「朝、録画しながらオンエアを観て、夜、夫婦でまた観る。2回観ると、朝は気づかなかった仕掛けやネタを確認できるんです」
そう語る碓井氏を含め、多くの中高年男性がハマってしまう理由はどこにあるのだろうか。
「アキ、春子、夏という、3世代の“トリプルヒロイン”が強力で、それぞれにいろんな思い入れができる。普通のヒロインに比べて3倍キャッチーなんです。さらに、巧みに1980年代と重ね合わせることで、中高年をガッチリつかんでいる。曲やタレントの名前が本来の名称で出てくるのも、これまでの朝ドラでは考えられないことです」(碓井氏)
※週刊ポスト2013年6月28日号