NHKの朝ドラ『あまちゃん』(脚本・宮藤官九郎)の快進撃が止まらない。その魅力を挙げればきりがないが、いま最大の関心事ともいえるのが、東日本大震災がどう描かれるかだ。
主人公・アキが北三陸に行ったのが、2008年夏。そして東京編は2009年夏からの時代設定になっている。脚本の宮藤氏も、震災の描き方については頭を悩ませたとインタビューで語っている。
アイドル評論家の中森明夫氏は、こう予想する。
「夏ばっぱが震災で亡くなるのでは。夏がナレーションをしているのは、実は亡くなった彼女の霊がドラマ全体を振り返っているのではないかと以前から話題になっていました。
ただ、東京編からアキのナレーションに代わるのをどう捉えるべきか。アイドルになったアキは、3.11の後、北三陸に行くと思います。朝ドラですから、震災後の北三陸を復興に向かわせるという終わり方以外、ありえないでしょう」
『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版刊)の著者でライターの田幸和歌子氏も、夏が亡くなるという点では一致する。
「多分、震災で夏ばっぱが亡くなり、春子が跡を継いで海女さんになっていく。そしてアキは“みんなに元気を与えたい”と決意して、東京から地元を照らすアイドルとしてやっていくんじゃないでしょうか」
衛星放送で毎日観ているという在米の映画評論家・町山智浩氏は「宮藤さんが脚本を書きにくくなると申し訳ないので、あくまで僕の希望」と断わった上で、こんなラストを思い描く。
「大震災で皆がパニックに陥っている時に、大吉さん(北三陸駅長)が『鉄道を動かすぞ』と号令をかけて、アキちゃんや地元の人たちが力を合わせて、鉄道が動き出したところで終わらせてほしい。『地震なんかに負けない』という希望に満ちた終わり方です」
※週刊ポスト2013年6月28日号