1年9か月の服役を経て今年3月に仮釈放になった元ライブドア社長の堀江貴文氏。「世の中に金で買えないものなんて、あるわけがない」という語録は有名になったが、このフレーズは取材した記者が読者の反発を期待して付けたものだと明かした。堀江氏がマスコミの印象操作について語る。
──あなたのケースでは、マスコミが妬みを増幅した?
堀江:印象操作しちゃうところはありましたね。最近も週刊誌のインタビューを受けて、僕が1996年に起業し、すぐに会社がうまくいったから年収は1200万円くらいあったと話したら、原稿では「ネットバブルで最初から年収1200万円」とか書かれてしまう。
六本木ヒルズに住んでいたことも、職住近接が理由だと言ったのに、そこは書かないで、「女の子にモテたいから」とされちゃう。そりゃ、話のなかで、ヒルズに住んでたら女の子にもモテましたという話もしましたが、それだけ書かれたら読者は反発しますよ。
今日もカメラマンさんがいらしてますが、本当は写真撮られるのも嫌いなんです。カメラは一番イヤらしいから。今のカメラは簡単に連写できるでしょう。そうすると、ほんの一瞬、偶然撮れた「ヘン顔」を使われたりする。
こちらも日によってコンディションは違うし、良くない態度でネガティブな印象を持たれてしまうこともあるでしょうけど、それだけじゃなくて、最初から「堀江はこういう男」と決めてかかる取材は少なくありませんね。
──ライブドア事件の頃、メディアは“堀江叩き”に熱狂していた。
堀江 お祭りですよ。もう本当にみなさん嬉しそうな顔をしてましたね(笑)。会社が強制捜査を受けた翌朝開いた記者会見では、記者の人たちがみんな嬉々としているのが伝わってきました。
逆に知りたいけど、なぜマスコミはそんなに人を叩くのが楽しいのでしょう。
──もしかすると、そこにも「妬みの構造」があるのかもしれない。記者が、ということもあるだろうし、読者の側にも成功者が叩かれるのを見たいという気持ちがないとはいえないのではないか。
堀江:それをマスコミが煽って喜んでいるわけでしょう。メディア・フレンジー(狂乱)ですね。そんな恥ずかしいことをしなくても稼げる仕事は一杯あるじゃないですか。そういう世の中は良くないと思います。
※SAPIO2013年7月号