厚生労働省の専門家検討会は6月14日、「子宮頸がんワクチン」の副反応(副作用)問題で、「定期接種は中止しないが積極的には勧めない」と、何ともあやふやな結論を出した。
日本では2009年10月に承認され、今年4月1日からは、小学6年生から高校1年生相当の女子を対象に、定期接種として推奨されているこのワクチン。ほとんどの自治体では無料で接種が行われている。「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」実行委員長で、自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科の今野良教授は説明する。
「子宮頸がんはほぼ100%、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。このウイルスは性交渉によって感染するウイルスで、感染しても自覚症状はなく、ほとんどの場合、すぐに体外に排出されるのですが、一部が5~10年という長い潜伏期間を経て、がんにまで進行するのです。
このワクチンはHPVの感染を防ぐ効果があり、まだHPVに感染していない9才から15才までの女子に接種すると将来の子宮頸がんをおよそ70%以上予防できるといわれています」
だが、そのワクチン接種が新たな患者を数多く生み出していた。失神、痙攣、血圧低下、自律神経失調症、ギラン・バレー症候群…。厚労省によると、2009年から昨年末までの約3年間でこうした副反応の届け出は1926例。ワクチンとの詳しい因果関係は不明だが、なかには死亡者もいる。成城松村クリニックの松村圭子院長が説明する。
「副反応の全ての原因がワクチンそのものにあるかどうかはまだわかってはいません。ワクチン接種は筋肉注射で行われる上、さらに針が太く、また、定期接種の対象が小学6年生から高校1年生と、まだ自律神経が発達しきっていないため、痛みに対する恐怖感で神経反射を起こした可能性も低くはないといえます」
検討会が接種の中止ではなく、「積極的な推奨を控える」という結論に留まったのも、副反応とワクチンの因果関係がはっきりしていないためだった。しかしこの結果、私たちはあまりにも無責任に娘の命を左右する選択を委ねられたことになる。一体、私たちはどうすればいいのだろうか。
「現状は副反応のリスクと、将来の子宮頸がん発症のリスクがてんびんにかけられたような状態。ただ、ワクチンも100%予防できるわけではありません。大事なのは、定期的にきちんと検診を受けること。早期発見することができれば、手術によって100%治るどころか、その後に妊娠・出産することだって可能です」(前出・松村院長)
※女性セブン2013年7月4日号