『日本代表おめでとうございます。ここにいる皆さんは日本代表のチームメートです! どうか駅の方向に進んでください』
6月4日、サッカーの日本代表がWカップ出場を決めた。斜めに横断することが禁止された渋谷のスクランブル交差点には、若者を誘導する1人の警官の姿があった。人呼んで、“DJポリス”。
「警官に抑え込むように言われると、うるさいこのヤロー、となるけれど、この人は凄かった。思わず笑ってしまって…。みんなから喝さいや拍手が沸き起こっていました」(30代会社員)
さらに“DJポリス”の活躍は続く。
『日本代表は好プレーでも有名なチームです。フェアプレーでも有名なチームです。ルールとマナーを守ることで知られています。サポーターの皆さん、サポーターの皆さんは12番目の選手です。12番目の選手の皆さんもルールとマナーを守って、フェアプレーで今日の喜びを分かち合いましょう』
そして半ば懇願するように、話す。
『目の前の怖い顔したお巡りさんは、皆さんが憎くてこういうことをやっているわけではありません。心の中では、日本代表のWカップ出場を喜んでいるのです。どうか皆さん、お巡りさんの言うことを聞いてください』
『ゆっくり前に進みましょう。怪我をしてしまっては、日本代表のWカップ出場も後味が悪くなります』
交差点に走り出すファンにはバッサリ。
『そういうことをやったら、イエローカードですよ』
かくしてこの日は負傷者も逮捕者もなく、無事サッカーの余韻に浸れたのである。
“DJポリス”の一連の言動は、水平性を保つ話し方と呼ばれている。上から押しつけるのではなく、警官も若者と同じ人間なんだということをアピールし、それが多くの人の心に届いた結果、皆が従ったのである。
「あの場にはいなかったけれど、ネットで発言を見て、モノは言いようよねと感心した。夫に“いい加減にしてよ”と怒って迫るばかりではなく、言い方も考えて、モノ言いを変えてみようかなと思ってます」(40代主婦)
夫婦のモノ言いにも“水平性”を応用したい。
※女性セブン2013年7月4日号