壇蜜と大久保佳代子の異色タッグで話題の『だんくぼ』(テレビ朝日系)の特別版が6月21日、放送された。4月に放送開始し、深夜2時台の放送だったが、その人気ぶりからわずか2か月で午後11時台に昇格を果たした。
今、テレビ業界では2人のトークを中心としたバラエティー番組が人気だ。『だんくぼ』以外にも、関ジャニ∞の村上信五とマツコ・デラックスの『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)、マツコと有吉弘行のトークを中心に展開する『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)など。こうした番組が増えているのはなぜなのだろうか?
番組のひとつの特徴は、VTRや視聴者からの相談など、ひとつのテーマについて2人で語り合うところだ。『だんくぼ』では、女性からの“気になるけれどどうでもいい悩み”について壇蜜と大久保がさまざまな見解を話していく。
「どの番組もこの2人でやったら面白いだろう、という期待感を持たせる組み合わせが多いですよね。対極にあるキャラクターの2人がやることで、テーマをいろんな角度で検証できる。視聴者にとっても、テーマがわかりやすく見えてきます」(コラムニストのペリー荻野さん)
一方で、こうした番組が増えているのは、制作側の事情もあるようだ。
「出演料は2人分だけですから、旬のタレントを起用しても、全体の制作費は抑えることができます。2人の組み合わせによっては“冠番組”としてインパクトを出せるし、深夜枠の放送でも、人気が出ればゴールデンへの昇格も期待できる。うまくいけば、費用対効果は非常に大きいのです」(民放の番組スタッフ)
前出・ペリーさんは、以前と比べて冠番組が減ってきたなかで、バラエティー番組のありかたが変わってきたのではないかと指摘する。
「かつては大橋巨泉さんのような大物司会者がいて、少し前までは島田紳助さんもいました。彼らは番組進行にあたって、自分が責任者だという立場で、番組を仕切っていました。その結果、司会者のカラーが非常に強く、視聴者に“上から目線”という印象を与えるものも多かった。それが冠番組のひとつの形でした。巨泉さんや紳助さんはすでに芸能界を引退してしまったこともあり、以前のような司会者が仕切るタイプの番組は減っていっています。
変わって増えてきたのが、視聴者目線にたった番組です。『だんくぼ』のような、2人をメインにした番組も、この流れの中で出てきたものでしょう。起用されるのは決して大物ではなく、視聴者と同じ目線に立ったタレントです。有吉さんやマツコさんは、毒舌だと言われていますけど、それは私たちと目線が近く、誰もが思っていることをずばりと言うから。“視聴者目線”というのがこうした番組の特徴であり、支持を受ける理由でしょう」