世界との力の差を見せつけられた。コンフェデレーションズカップに臨んだサッカー日本代表は、ブラジル、イタリアに相次いで敗北。来年に迫ったW杯本大会を前に、大きな不安を残す結果となった。このまま、ザッケローニ監督に任せておいていいのか?
もちろん、ブラジルやイタリアという強豪国に、そう簡単に勝てるとは思っていない。ただ今回の敗戦には、「相手が強豪国だったから仕方ない」では済まされない事情がある。
まずはイタリア。
「コンディションは最悪だったよ。中心選手がユベントスやミランなど、ビッグクラブで厳しく長いシーズンを戦い抜いた直後で、完全に疲弊した状態だった。その証拠に、コンフェデ杯に先駆けて行なわれた格下のハイチ戦(6月11日)ではまさかの引き分け。モチベーションも下がり気味だったね」(イタリア人記者)
そしてブラジル。
「昨年11月に監督が代わり、新体制になってからまだ日が浅い上に、W杯予選が免除されているため経験不足は否めない。世界ランクも過去最低の22位。そんなチームが、サッカーには世界一厳しいブラジル国民の前で試合をするのだから、相当なプレッシャーがあったはずだ。戦前の予想は決して楽観的ではなかった」(ブラジル人記者)
つまり、日本が付け入る隙はいくらでもあったのだ。 W杯出場を決めた翌日の会見で、本田圭佑はこうブチ上げていた。
「個の力を高めていかないと、世界では勝てない」
確かにコンフェデ杯では、海外の選手に対し、日本は個の力で圧倒され、長友佑都はブラジル戦後に「中学生とプロのレベル」とうなだれた。W杯まであと1年しかないが、各々が置かれた場で最大限、自らの力を磨かねばならない。そのためにはチーム全体で、レギュラーと控えの競争が不可欠である。
だがその意味では、ザッケローニ体制はすでに限界を迎えてしまっている。
「常にメンバーが固定されてしまっている。そのせいで今の代表は、すでに“完成”してしまった感すら受ける」
こう語るのは、元日本代表MFで、NHKでコンフェデ杯の解説を行なった藤田俊哉氏である。
「W杯で結果を残す国は、予選の間は様々な選手を試し、競争を作り出してチーム力の底上げに徹する。そして本大会にピークを持って行く。
しかし日本は新戦力を試す気配がなく、チーム内での競争がない。レギュラーと控えの間に力の差が開き始め、レギュラーへの刺激にすらならない。
このままでは今後1年の上積みは期待できません。それどころか、ケガをしたりしてレギュラーの誰かが欠ければ、すぐに機能しなくなる」(藤田氏)
※週刊ポスト2013年7月5日号