私たちのメールや写真は筒抜けになっているようだ。欧米紙のスクープや元CIA職員、エドワード・スノーデン氏の内部告発によって明らかになった米国の情報監視システム(PRISM)。
報道によれば、米国家安全保障局(NSA)は、このシステムを用いて、マイクロソフト、アップル、グーグル、フェイスブックなどIT大手9社から、メールや動画、サイトを見た履歴などの個人情報を密かに収集していたという。
いまやSNSやメールは誰に覗かれているかわからないのが現状だ。米の情報収集問題という国家レベルの話だけではない。現在では、多くの企業が“社内PRISM”ともいえるシステムを持っているのだ。
たとえば多くの企業では「@」マークのあとに企業名などを配したアドレスを社用アドレスとして社員に提供している。ビジネス上の連絡事項をやり取りすることを目的として提供されたアドレスだが、多くの社員は私事の連絡事項にも使いなれた社用アドレスを用いている。
企業の社用アドレスを管理するシステムエンジニアが明かす。
「多くの企業は社用アドレスを使ったメールを数年間は保存しています。常時監視しているというより、何か不祥事があった際に問題社員のメール内容や履歴を調べることができるようにしているんです」
ある上場企業で数年前、社長追い落としを狙ったクーデター騒動が発生。結局、クーデターは未遂に終わり、首謀者とされた重役は処分されたが、重役とは表面上の繋がりのなかった複数の社員も「共犯者」として問責を受けることになった。社内のシステムに、重役が事件直前、これら社員に頻繁にメールを送った形跡が残っていたからだ。
「キーワード設定して、その言葉にひっかかるメールだけを抽出することもできます。宗教団体や政治団体の名前を設定しておいて、それら団体に所属する社員をこっそり会社側が把握するんですね。社長の名前をキーワード化し、悪口を言った社員を特定することも難しいことではない」(同)
社内「PRISM」システムもなかなか恐ろしい。
※週刊ポスト2013年7月5日号