プロ野球の統一球変更隠蔽問題。昨年のボールが、反発係数の基準を下回る「さらに飛ばないボール」だったことで生まれた問題だが、この煽りをモロに受けたのは、現役の選手だけではない。自らの打棒の翳りにショックを受け、すでにグラウンドを去った選手たちだ。
まずは小久保裕紀氏。引退を決意したのは、昨年8月の試合で、レフトへの大飛球がフェンス前で失速したためだった。
「角度も完璧、手応えもバッチリ。打った瞬間、小久保は本塁打を確信した。でも打球はフェンス際で中田翔のグラブに収まりました。見ていたこちらも“ああ……あれが入らないのか”とショックを受けたし、本人も“あの当たりで入らないんだったら引退”と決意を固めた」(スポーツ紙記者)
今年の球は昨年より約1~2メートル飛距離が伸びたという。とすれば、彼の決意のタイミングもまた変わっていたはずだ。
もう一人は金本知憲氏。持病の肩痛による守備の不安はあっても、代打の切り札としてなら今でも十分働けただろう。
「先日甲子園を訪れた時は、好調の新井貴浩に対し、“新井サンであれだけ飛ばせるんなら、俺はまだまだできたな”といっていました(笑い)」(在阪スポーツ紙記者)
さらには飛ばないボールにイライラして“扇風機”になった結果、クビになったこの人も、恨み節を爆発させていた。昨季限りで阪神を退団し、今季は米独立リーグでプレーしていた、元阪神のブラゼルだ。
「NPBの発表を見たファンが、“戻ってきてくれ”というコメントをブラゼルのツイッターに寄せていた。するとブラゼルは、このコメントをリツイートしまくって猛アピール。未練タラタラでしたね」(同前)
アピールが功を奏したのか、6月22日にロッテがブラゼルの獲得を発表。待望の日本球界復帰となった。
※週刊ポスト2013年7月5日号