7月末のトレード期限を約1か月後に控え、MLBでは夏のストーブリーグが始まった。ポストシーズン進出を狙うチームは戦力強化に励み、優勝が遠のいたチームは高値で売れる選手を放出して来季の挽回を目指す、というのはこの時期の風物詩だが、そんな中、MLB2年目を迎えた日本人投手が大モテだという。
「マリナーズの岩隈久志です。防御率2.06でリーグ2位。MLBの先発投手評価で最重視されるQS率(*注)も上位。先発陣が手薄なチームにとって、喉から手が出るほど欲しい選手です」(米誌コラムニスト)
中でも熱視線を送るのがヤンキースだ。黒田博樹、サバシアの二枚看板はともかく、3番手以降に安定感がない。岩隈は来季までの2年契約(総額1400万ドル)だが、「来季分の年俸をマ軍に払ってでも獲得したい選手。金満のヤ軍にしてみれば大した額ではない」(ヤ軍番記者)という。
その際には「仰天トレード」があるかもしれない。
「ヤ軍の放出要員はイチローではないか。打率.265では物足りないし、何よりも出塁率が3割前後では戦力にならない。存在価値は薄れている」(同前)
イチローがマ軍からヤ軍に電撃移籍したのは昨年の7月。1年後の出戻りとなればイチローにとって屈辱的な展開だが、マ軍関係者は苦笑していう。
「いくら何でも岩隈とイチローの交換では、マ軍が大損だ。ヤ軍の有望な若手を2人ほどプラスしてもらわなければ割に合わないよ」
実力がすべてのMLBでは、過去の栄光は何の役にも立たない、か(本文中の記録は6月19日現在)。
【*注】クオリティスタート率/先発投手の安定度を示す指標。6イニング以上を投げ、かつ自責点を3点以内に抑えた場合に記録される。
※週刊ポスト2013年7月5日号