勃起不全に加えて、不眠やイライラ、発汗、集中力低下、短気といった症状が気になりだしたら、「LOH症候群」(「加齢性腺機能低下症候群」または「男性更年期障害」ともいう)を疑ってみるといいかもしれない。何しろ、LOH症候群は中高年男性の250万人が罹病しているとされているのだ。帝京大学医学部附属病院の井手久満准教授は、同病院の泌尿器科・前立腺センターにある「メンズヘルス外来」で担当医を務めている。
「LOH症候群はテストステロン(男性ホルモン)の分泌量低下が原因です。テストステロンは、20代をピークに低下を続け、60歳以上で2割オフ、80歳以上だと半分以下になってしまいます。また、強いストレス環境下でもテストステロンは低下することが認められています」
EDが心の重荷になってストレスを溜めこむことで、男性ホルモンの分泌量はますます低下してしまう。EDを引き金にして、負のスパイラルは続く。井手准教授はいう。
「LOH症候群の治療は、男性ホルモンのテストステロンを補充する療法が最適です。検査から注射まで保険適用ですから、1回数百円で打てます。補充する量は125mgほど。これを2週間から4週間に1回打ちます。大量に補充すれば、スポーツ界でたびたび話題となるドーピング状態になってしまいますが、この程度ならまったく問題ありません」(同前)
井手准教授のメンズヘルス外来には、60代以上の男性がテストステロンを注射しにくることが多い。しかも、大多数の患者がEDを筆頭としたLOH症候群の諸症状を改善しているのだ。
「60代の男性にテストステロンを打ったところ、『10年ぶりに朝勃ちした』と喜ばれました」(同前)
他にも若返った例は多い。76歳の別の患者は、男性ホルモンに加えてED治療薬も併用したところ、36歳と28歳、25歳の若い女性3人と交際するにいたったという。
「ED治療薬とのコラボ効果は、私も眼をみはることがあります。80代で立派にセックスをこなす方がいらっしゃるくらいです」(同前)
※週刊ポスト2013年7月5日号