芸能人になりすましてメールを送り、出会い系サイトへ誘導し、料金をだまし取るという「なりすまし詐欺」。まさに、ファンの心理につけ込んだ巧妙な手口だ。
女性セブンは、出会い系サイトの運営会社に勤める人物への接触に成功した。ここでは仮にA氏とする。そのA氏が明かす手口は、想像以上に手の込んだものだった。
「昔はオレオレ詐欺をやっていたが、あれは電話をかける手間がかかる。その点、メールは雛形さえ用意しておけば、いくらでも対応できる。4~5年前からやっていて、最近は費用対効果が抜群に上がっているね」
A氏によれば、40代、50代の女性が特においしいカモだという。それは、こうした詐欺に慣れておらず、情報に疎い人が多く、ちょっと無理をすれば、お金を捻出できる立場にいるからだ。
なりすまし詐欺が横行するSNSには、ラインやミクシィなどいろいろあるが、業者にとって最も“おいしい”のは、フェイスブック(以下FB)だという。FBは実名での登録が原則なので、安心感がある分、まさかそれが偽名だとも、騙されるとも思わないからだ。
「あそこはカモの宝庫。サイト側は芸能人のマネジャーなどを装って、偽アカウントを作れる。メッセージを送るには、不特定多数の人に大量に『友達申請』するソフトがあって、それを使う。精度を上げたければ、例えば嵐のファンページに『いいね!』をしている人間を抽出して、そこにメッセージを送ることも簡単にできる」
とA氏は笑う。そうやってメッセージのやり取りをする中で、業者側は出会い系サイトに誘導することに全力を注ぐ。例えばこんな文面で。
〈FB上では危険なので詳しいやり取りができない〉
〈FB利用を事務所に禁じられているから〉
「どうしてサイトに登録しなくちゃいけないんだろう? と疑問を感じる人間は騙されない。怪しみながらも『あっちゃん(前田敦子)のため』『松潤(嵐・松本潤)のため』と思ったら最後だね」(A氏)
そこで始まるやりとりは、タレントの悩みに触れるものが中心。例えば、AKB48のニセ大島優子から、グループ内でいじめられているので相談に乗ってほしいというメールが来る。
〈一般人とこういった形で連絡を取り合うのって本当はルール違反なんです…。もちろん、バレちゃったら即刻活動謹慎…。だけどそれも覚悟の上でのお願いなんです…!〉
『誰にも言わないで』『こんな話ができるのはあなただけ』というアプローチが、詐欺発覚を難しくしている。
※女性セブン2013年7月11日号