NHK『きょうの料理』『あさイチ』で人気の“ばぁば”こと料理研究家・鈴木登紀子さん(89才)が、ジメジメするこの時期に、台所を清潔に保つための方法を教えてくれます。
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すでに台風も続々と接近し、いよいよ高温多湿の日本の夏に突入いたしました。この時期、気をつけていただきたいのが、お台所をよくよく清潔に保つということです。
そのためには、お台所をビシャビシャにしておかないことが肝要。いつも口ぐせのように申しておりますが、お台所にはお布巾をたくさん用意し、水滴を見たら敵だと思えとばかりに、とにかくこまめに拭き取るのです。
ばぁばは昔から“お布巾大臣”なのです。お料理教室の準備で、真っ先に用意するのが大量のお布巾。これをステンレスのかごにセットするのが習慣になっております。お布巾を使うたびに水洗いしていたのでは、またビシャビシャになりますから、ケチらずに最初にたくさん用意しておいて、取っ替え引っ替えお使いになればよろしいの。
お布巾は、包丁や菜箸、まな板の拭き取り用、食器専用、そして台布巾と、用途に併せて用意いたします。そうすれば、まな板も包丁もさっとひと拭きですみますでしょう。
さらには、食材の水切りに使うさらしの布巾やガーゼもありますと、じつに便利です。包んで絞ればまとめてしっかり水が切れますし、唐揚げを作るときも、片栗粉をガーゼで包み、それでポンポンと、顔にお粉をはたくように鶏肉にまぶしますと、具合よく衣がつきます。
おひたしにする青菜も、手で直につかむよりもガーゼにくるみ両手を合わせて“拝み絞り”。白髪ねぎも、ねぎ(白い部分)をぶつ切りにしてから包丁目を入れて芯を取り、せん切りにします。そのあと、ふきんで包んで流水でもみ洗いし、かたーく絞るのです。ボウルの水に放すよりも、まとめやすいですからね。
なお、まな板も肉、魚、野菜とそれぞれにご用意なさるとよろしいですよ。なにも立派なものでなくてけっこうですからね。私はお菓子や佃煮が入った木箱のふたを集めておいて、魚用、肉用に使い分けております。傷がついたら新しいものに取り換えるのですが、これなら惜しくありません。
お布巾、まな板は、一日の最後にしっかり洗って消毒し、乾燥させておきましょう。湿ったままにしておかないことです。
また、スマートフォンというのですか、最近ではお料理の作り方も携帯電話でご覧になったりするようですが、どうか、お料理の最中に触るのは避けてくださいましね。普段、当たり前のようにしていることこそ、努めて気に留めていただきたいものです。
※女性セブン2013年7月11日号