国勢調査(2010年)によると、結婚していない30代後半の男性は34.6%、女性では22.4%に達する。40代前半になっても、男性の4人に1人、女性の6人に1人が未婚だ。そんな中、我が子に代わって婚活をする親まで現われた。“代理婚活”の現場をレポートする。
「30代後半になるのに、いっこうに結婚する気になってくれない」
「いつまでもフリーターで定職に就いていない。安定した収入もないし、このままでは結婚できない」
「私たちが死んだ後、子供は誰と支えあって生きていくのか。病気にでもなったらどうするのか」
そんな思いを抱える親たちが通うのが、「親のお見合い会」である。自分では結婚できない、結婚しようとしない本人に代わり、親同士が子供の相手を探す、いわば“代理婚活”の場だ。
札幌市にある結婚相談所オフィス・アンが、2000年11月に「親の縁は子の縁」交流会なる代理婚活イベントをスタート。それ以降、同様の親の見合い会が全国に広がった。
「親の縁は子の縁」交流会代表の斎藤美智子氏がいう。
「これまでに160回以上の交流会を開き、全国で1万5000人もの方に参加していただきました。成婚率は把握していませんが、感触としては2割ほどだと思います」
街コンの婚活成功率が3%という調査結果があるなか、2割というのは信じられないほど高い成婚率だ。
会場は地域の産業会館などが多く、参加人数は1回につき100人から150人ほど。同会の場合、参加費は東京では1人1万5000円、他の地域では1万円だ。母親1人での参加が約5割、父親1人での参加は約2割、夫婦での参加が約3割だという。
参加希望者は、まず「○月○日の回に参加したい」と希望を出し、同時に息子や娘を紹介するための書類を提出する。それをもとに名簿が作成され、会が開催される1週間前に親の元に届く。
「名簿には名前や出身大学名、住所といった個人情報は記載せず、101番、102番といった番号を振ります。ただし、年齢、ご本人と親御さんのお住まいの地域、高卒・大卒などといった最終学歴、職業、家族構成、身長、血液型、結婚歴、資格、趣味・特技、転勤の有無、再婚はOKか、共働きはOKかなどといった、アンケートの回答が記されているので、どんな人がいるかわかるようになっています」(前出・斎藤氏)
当日は、参加者である親が、子供のプロフィールを書いた身上書と写真を持参し、会が始まると、事前に名簿で目星をつけていた相手のところに行き、「もしよかったらうちの子供はどうですか」とアプローチする。互いの親が気に入れば、身上書と写真を交換しあい、家に持ち帰って子供に相談するのである。
「お見合いとなると、本人の意向がありますからね。いわば親同士が仲人役になり、話し合って子供のお見合いをセッティングする。『今回は見送りたい』となった場合には、プロフィールを相手に返すことになっています」(前出・斎藤氏)
※週刊ポスト2013年6月28日号