ペットボトルの清涼飲料水といえば、少し前までは500mlや350mlタイプが主流だったが、清涼飲料水メーカーが近年、200mlや250mlなど、300ml以下の小型のペットボトル飲料水を相次いで発売。好調な売れ行きを見せている。
日刊経済通信社によれば、清涼飲料水メーカーの昨年12月のペットボトル生産量は、前年同月比で、500mlペットボトルが101.7%、350mlが102%とそれほど変わってないのに対し、280mlが115.9%、200ml以下が153.6%と前年を大きく上回っている。
「ペットボトルは飲料水メーカーが独自に開発することが多く、最近ではほかのメーカーが出していない、より小型のものを出すメーカーが増えてきています。今後もこうした動きは広まるのではないか」(業界関係者)
今年にはいって、メーカーもさまざまな新商品を投入している。
深田恭子がバッグの中から250mlタイプのペットボトルを出すシーンが描かれるCMでも話題の大塚製薬『ポカリスエット イオンウォーター』。この商品は4月の発売以降、順調に販売本数を伸ばしている。
「甘さ控えめでカロリーオフという点に加え、250mlで飲みきりサイズ、持ち運びに便利ということなどから女性に受け入れやすかったと考えています」(大塚製薬の広報担当者)
同社では2002年に、『ポカリスエット』の200mlペットボトルを発売。以来、携帯性に優れていることなどから、女性や中高年などに支持を集めてきた。
アサヒ飲料でも2月に250mlボトルの特定保健用食品『食事と一緒に十六茶』を発売。今まで同社にあった同様の商品と比べても、5月までの売り上げは前年比118%と好調だ。
日本コカ・コーラでは2007年から『コカ・コーラ』の300mlのペットボトルを発売。現在は、ほかの清涼飲料水でも小型ペットボトルのラインナップを充実させている。
「もともとコンビニエンスストアなど手売りが中心だった販売のチャネルが自動販売機にも広がりました。さまざまな容量やパッケージを提供することで、お客様のニーズに合わせた選択肢が広がったと思います」(日本コカ・コーラの広報担当者)
人気の理由は、やはり女性からの支持が大きいようだ。トレンドウォッチャーのくどーみやこ氏はこう指摘する。
「500mlや350mlのペットボトルだと、女性では飲みきれない人もいるので、小型のペットボトルはちょうどいい大きさです。もともと日本人には残すのがもったいないという考え方があるので、飲み切れる少なめのものがほしいというニーズはあったんだと思います。また、ある企業の調査では、自動販売機では午前中はその後1日持ち歩くことから500mlタイプが売れ、午後や夕方になると飲み切り用として300ml以下の売れ行きが伸びるというデータもあるそうです」
近年、携帯用のデジタル機器が普及したことにより、女性の荷物が増えたことも小型ペットボトルの人気の背景にあると語る。
「女性はバッグはそれほど大きくないのに荷物が多い人が多い。最近はスマホやタブレット、ポケットワイファイなどを持っている人も増え、そうした荷物でバッグがどんどん膨らんでいく傾向にあります。夏には日傘を鞄に入れる人もいます。そこに500mlのペットボトルを入れると、場所がとられてしまいますからね。携帯用として小型のペットボトルの人気が高まるのも当然といえます」(くどーさん)
ペットボトル全体に占める500mlタイプの割合は7割程度とまだまだ大きいが、今後、小型ペットボトルがさらに人気を集めるのは間違いなさそうだ。