絶好調のNHK朝ドラ『あまちゃん』。多くの視聴者が気になっているのは、やっぱりドラマの最後には「東日本大震災」がやってきてしまうのか、ということだろう。 岩手県久慈市にある「小袖北限の海女の会」事務局の宇部美香子さんがいう。
「実際の震災では、小袖地区の被害は大きくなかった。ドラマでは誰も亡くなってほしくない」
これだけハチャメチャに明るいドラマだから「なんとかハッピーな展開を」と望むのが人情。しかし、どうやら悲劇は訪れてしまうようだ。
「北鉄」のモデルになった、三陸鉄道北リアス線久慈駅の橋上和司・駅長が語る。
「電車を使ったロケがある関係上、私は最終回の前の週までの脚本を読んでるんです。ですが内容は絶対に教えられません。私の口からいえるのは“それでも北鉄にたくさん乗っていただくために、アキちゃん(能年玲奈)には東京から戻ってきて、ユイちゃん(橋本愛)と2人で歌い続けてほしい”ということだけです。大吉・駅長(杉本哲太)や吉田・副駅長(荒川良々)にも大変だが頑張ってほしい」
駅長の悲壮な口ぶりからも、劇中の震災被害は甚大であるようだ。
『あまちゃん』ウォッチャーとして知られる、碓井広義・上智大学教授(メディア論)はこう予測する。
「寂しいですが、夏ばっぱ(宮本信子)は亡くなってしまうでしょう。それがきっかけとなって、あれだけ海女稼業を嫌がっていた娘の春子(小泉今日子)が海女になる決意をするのでは」
被災という現実の前に、東京でGMT47のメンバーとしてアイドル活動をするアキはどうするのか。
「いったんアキは北三陸に戻るが、東京に戻ってアイドルを続けるか、地元に残るかに思い悩むはず。だけど母の春子は“東京に帰れ”と告げる気がします」(前出・碓井氏)
一度はアイドルになることを強硬に反対した母が、最後は娘の夢の実現を後押しするということか。 一方、アイドル評論家の中森明夫氏は「アキは北三陸を選ぶはず」と主張する。
「アキは北三陸に帰り、現地で復興を支える。なぜ『あまちゃん』というドラマなのにアイドルを目指すのかといえば、最後に海女に戻った時にアキが輝く姿を際立たせたいからです」
お座敷列車、海女カフェ、フェス「海女~ソニック」など数々の街おこしを企画してきたアキだけに、復興にも斬新なアイデアを期待したい。
※週刊ポスト2013年7月5日号