女性の社会参画による晩婚化、晩産化は、何も日本だけの問題ではない。WHOによれば、世界でも1億8000万組以上の夫婦が、不妊に悩んでいると推計される。
しかし、40才を超えて不妊治療を受ける女性の割合は、圧倒的に日本が高い。卵子老化、男性不妊、そして女性のキャリアの問題に、海外ではどのように対処しているのだろうか。
ヨーロッパは、不妊治療に“ルール”が必要という国が多い。出生率が回復したことで話題になったフランスもまた、不妊治療にさまざまな規制を設けている。
フランスで体外受精を行っている施設は約100。体外受精が行われた数は7万9000件(2010年)で、日本のおよそ3分の1だ。もっとも多く不妊治療を受ける年代の女性は30~34才で約30%。40才以上は10%あまりで、平均すると34才となっている。
南仏モンペリエにあるクリニック・サンロック生殖補助センターのジル・レニエ・ビグル医師にフランスの不妊治療制度を説明してもらった。
「フランスは国民全員が国民健康保険に入っていて、専業主婦なら夫の保険に、仕事をしていない未婚の女性でもCMU(普遍的疾病給付)に入っているので、医療はほとんどが無料です。不妊は、フランスでは疾病とみなされているため、治療が必要な人は、医師の診察によって保険が適用されます。生殖補助については、人工授精が6回まで、体外受精が4回までならば100%カバーされます。そこから先は自己負担となります」
同クリニックを訪れる女性たちは、必ず恋人や夫を伴うことを義務付けられている。不妊の4~5割の原因は男性にあるうえ、「子供は男女ふたりでつくるもの」という意識が根付いているからだ。
「ただし、年齢制限は厳格に定められていて、女性の43才の誕生日前日までとなっています」(ビグル医師)
※女性セブン2013年7月11日号