プロ野球において、最も強烈な対立関係にあるのが、巨人ファンと阪神ファン。ともに伝統ある球団に声援を送りながら、その性質はまったく別物だ。球界の盟主を自任する巨人ファンと、反骨心の塊のような阪神ファン。水と油の両者を同じ会場に揃え、球場では絶対NGの座談会を決行した!
──まずは、お互いの応援スタイルについて。
阪神ファンA(40代・自営業):「いや~、とにかくあのオレンジ色のタオルを振り回す応援がメチャメチャ鬱陶しいんですわ。あれ、エエ加減やめてくれへんかな」
阪神ファンB(60代・無職):「そもそもあれってロッテの応援のパクリやろ? 確か、最初は白いタオルやったやん(笑い)」
巨人ファンC(50代・会社員):「いやいや、よくパクリだっていわれますけど、違いますよ。ロッテの応援団は尊敬して、参考にしているけど」
巨人ファンD(40代・会社員):「ロッテファンからは別に何もいわれませんからね。そんなこといったら、阪神のジェット風船だって、元々は広島のパクリでしょう。鳴り物も最初は広島が始めたんですからね」
──まァ、ロッテの応援も元々サッカーの真似のような気がしますしね……。
巨人C:「それより、我々が阪神ファンにいいたいのは、とにかく観戦のマナーが悪いこと。相手選手やファンを罵倒するのは、応援とはいいませんよ」
阪神A:「そういう連中はあくまで一部や。阪神ファンかって、マナーのエエ人はいっぱいいてるで」
巨人C:「その一部の人たちの被害を受けるのは、大体俺たち巨人ファンなんですよね(笑い)。阪神ファンのアンチ巨人度は、度を超えている。間違えて阪神側の席に行こうものなら怖くて怖くて。俺たちは“親の敵”ですか?」
阪神A:「いや、申し訳ないんやけど、なんか気に入らんのですわ(笑い)。巨人ファンって、野球への“愛”が感じられへん。負けても陰でネチネチ文句をいうだけで、特に怒りもせん。そのくせ負けたら球場に来なくなったり、“弱いからファン辞めた”とかいいますやろ?」
阪神B:「俺らは辞めたくても辞められへんねん。どんだけ負けても、どんだけ球団から裏切られてもな。江夏とかバースとか、ファンの思いを抜きにして、人気のある選手でもバッサリ切られていくねんで。たまらんで」
巨人D:「熱いのとガラが悪いのは別! どうして皆、“猛虎命”とかダッサイ刺繍を入れた、特攻服みたいなユニフォームを着てくるんだろ。あれじゃあ、田舎のヤンキーじゃない」
阪神A:「あれは“心意気”やがな。巨人ファンなんて、ユニフォームを家から着てくる勇気がなくて、球場に来ていそいそ着替えるような奴らばっかりや。それに俺らよりガラが悪いファンがヨソのチームにおったやないか。あの“世界の王”に生卵ぶつけた奴ら(*注1)とか……」
阪神B:「アレはアカンでェ(と頷く)」
巨人D:「いやいや、かつてその“世界の王”を、ゲタで直接殴った(*注2)のは阪神ファンじゃない!」
阪神B:「ああ、あれは王さん、ホンマにすみませんでした(笑い)」
【*注1】1996年、負けの込んでいたことに腹を立てたダイエーファンが、王監督ら選手の乗るバスに対して生卵を投げつけた。
【*注2】1973年、巨人がV9を決めた試合で、怒った阪神ファンがグラウンドに乱入。王選手を下駄で殴りつけた。
※週刊ポスト2013年7月12日号