直径5cmほどの赤褐色の実を半分に切ると、甘~い香りが広がる。トロンとしたオレンジ色のゼリー状の果肉の中には黒っぽい種がぎっしり。スプーンで種ごとすくって食べると、甘酸っぱい果汁が口の中にあふれ、種はプチプチとした食感。パッションフルーツ。この南国の果実に、驚くべきパワーが秘められているらしい。
パッションフルーツの種子から発見された新素材パセノールに、血流の改善、メラニン形成の抑制、疲労感の緩和などの効果が確認された。5月に開催された「第67回日本栄養・食糧学会大会」でパセノールの研究結果が発表され、注目を集めている。
新たなアンチエイジング素材として期待のパセノールとはどんなものか、専門家に話を伺った。
「パセノールには、肌のたるみを抑え、ハリを取り戻す作用があります。食品で肌のたるみに作用する素材は非常に貴重。まさに20年に一度の期待の素材といえます」。
こう話すのは、パセノールの測定を行った東京工科大学・応用生物学部教授の前田憲寿さんだ。
「40~60代の女性にパセノールを8週間摂取してもらい、肌のハリや透明感を測ってみると、肌のたるみが改善され、肌の透明度も増していました。
パセノールには、たるみやしわなど老化の原因となる体の酸化を防ぐ、強い抗酸化力があります。また、パセノールは続けて摂ることで、血行がよくなり、肌細胞が活性化します。さらにコラーゲンの生成を促す働きもあるため、肌のハリがアップしたと考えられます。
さらに、驚いたのは、肌の弾力性が高まっていたこと。肌は、リラックスしている時は、やわらかく伸びがあり、もちもちしています。ところが、ストレスにさらされると硬くなり、しわができやすくなります。パセノールを8週間摂ってもらったところ、肌の伸び率がアップ。つまり、緊張を緩和させ、心身をリラックスさせる作用があるわけです」(前田さん)
パッションフルーツにいち早く着目し、7年前から研究を行ってきた森永製菓に話を伺った。同社で研究・開発を担当した栗田郁子さんはこう語る。
「パセノールは、美肌作用のほか、冷えや肩こり、ストレス緩和など、心と体両面に作用する素材。パッションフルーツで女性に元気になってもらいたいという情熱“パッション”を込めて、パセノールと名づけました」。
※女性セブン2013年7月11日号