数々の修羅場をくぐり抜けてきたジャーナリストの山路徹氏(51才)が、女性セブン読者のお悩みを解決。今回は、田舎で暮らしたいと言い出した夫に困惑する妻からの相談です。
【読者からの相談】
夫がいきなり「退職したら田舎でのんびり自給自足の生活がしたい」と言い出しました。でも私たち夫婦はふたりとも東京生まれの東京育ち。私は都会の便利な生活に慣れているので、自給自足なんて考えられません。夫は退職まで6年、なんとか考えなおしてほしいのです。うまく説得する方法を教えてください。(53才・パート)
【山路徹のアドバイス】
雑誌やテレビで田舎暮らしをしている人たちを見ていると俗世間に交わらない豊かな生活をしているように思えるんですよね。よくドラマや映画であるじゃないですか。都会暮らしで傷ついた主人公が自然豊かな土地で暮らすようになって本来の自分を取り戻していくというストーリー。
でも現実は厳しいものです。あなたが言うとおり、24時間開いているコンビニがあって、夜遅くまで電車もバスも動いていて、おなかがすいたときには安くておいしいお店がいっぱいある。その点、自給自足の生活をすれば何もかも自分たちで調達しなくてはいけません。畑仕事だって蜂やムカデなどとのたたかいもある。肉体労働も、体力がいつまでも続くとは考えにくいでしょうから、どんどんつらくなっていくでしょう。
何よりも人間関係がいちばん大変だと思います。旅行で、田舎の人たちが親切にしてくれるのは旅行者が相手だから。これがご近所づきあいとなってみたら、「都会人が何もわかってないくせに、軽い気持ちで自給自足なんて甘い」と思われかねず、トラブルのもとになってしまうかもしれません。
まずは、だんなさんに「田舎暮らしをして、うまくご近所づきあいする自信ある?」と聞いてみましょう。それでもだめなら次は体験で短期間田舎暮らしをしてみる。各自治体などが田舎暮らしを体験できるツアーを開催していますから、それに参加するのもいいでしょう。
まったく何もしないのも、あとで後悔の思いが残りますからね。体験して想像した以上に大変だと思ったら、そこで改めて夫婦で話し合えばいい。
だんなさんがやりたいと言っても、奥さんであるあなたは「ここがつらかったから私には向かない」と、体験しているから強く言えるでしょう。
あとは田舎暮らしをしたいと言ったということはだんなさんは現実逃避をしたいと思っているのかもしれませんね。むしろそのケアのほうが大事。「田舎で暮らしたいなんて、いったい何があったの? なんで東京で暮らしたくないの?」とまず、そこから聞いてみるのもいいかもしれませんね。
※女性セブン2013年7月11日号