「自分には基礎的なビジネスマナーや会社員としての気遣いや判断力が足りないと思い、受験しました」(29歳・玩具メーカー社員)
最近、「秘書検定」を受験した男性はこういう。男性サラリーマンが秘書検定? と訝しむことなかれ。
「秘書の仕事をたかが雑務と片づけるのは間違いで、実は雑務こそがサラリーマンとしてのスキルを決定づけている。最近のサラリーマンはビジネスマナーや職場での気配りに疎く、それが結果的に社内評価の足を引っ張っているケースも多い。できる社員ほど、『秘書力』も高いんです」(教育労務経営代表の佐藤一明氏)
そこで最近注目を集めているのが、文部科学省が後援する「秘書検定」である。秘書としての知識や実務能力を1~3級までの段階別に問うこの検定だが、最近受験者に変化があるという。
「以前は女子大生が中心でしたが、最近では、秘書的な能力の必要性を感じたり、転職へのスキルアップとして検定を受ける30~40代の男性会社員も目につく」(主催する財団法人・実務技能検定協会の担当者)
実際どんな問題が出ているのか。過去の検定試験で実際に出題された次の問題を解いてほしい(1級)。
秘書A子の上司(部長)が代わって1か月たった。前の上司はざっくばらんな性格だったが、今の上司には何となく威厳を感じる。そのためか課長をはじめ部下たちも近寄り難いらしく、部の雰囲気が変わってしまった。上司も自分が敬遠されていることを気にしているようで、A子に、部下たちのことを尋ねることがある。このような状況の中でA子は、上司や部下たちにどのようなことをいうとよいか。箇条書きで3つ答えなさい。(第92回)
模範解答は次の通りだ。
【1】課長に、「部長は部下から敬遠されていることを気にしている。課長から率先して部長に積極的に話し掛けてもらえないか」という。
【2】部下に、「部長は部下のことを知りたいと思っている。部長と話すときは用件だけでなく、ほかのことも話題にしてよいのではないか」という。
【3】部長に、「部下なのだから遠慮しないで声を掛けたらどうか。度重なれば、部下の方からも話し掛けやすくなるのではないかと思う」という。
部長、課長、部下それぞれに気配りが必要ということか……。優れた秘書力はそのままビジネスマンに通用することがわかるはずだ。
※週刊ポスト2013年7月12日号