いつまでたっても子供が就職も結婚もできないことに業を煮やし、あれこれと余計な世話を焼く親は多い。だが、親が子供をケアすること自体に、厳しい意見を向ける専門家もいる。『パラサイト・シングルの時代』の著者、山田昌弘・中央大学文学部教授はこう説く。
「いまや『中年パラサイト・シングル』が増加している。子供が甘えているというよりも、親が子供を甘えさせているということです。どうしたらいいのか? 基本的には、子供を家から追い出すか、もしくは親が家から出ていくことですね。生半可なことでは、問題は解消しません」
働かない、結婚しない状態を脱するために、まず「家を出ない」状態を改善させるべきだというのだ。この状況を後押しするのが、親と子の世代間の意識差だ。
たとえば、「仕事に就き、結婚し、自分の家を持つことが成功モデル」とされた団塊世代の親と、そうした親の背中を見ながら、自らはバブル以降しか知らない不況ネイティブ世代の子供たちの意識差が結果的に「共依存」をもたらしている。
子供たちは、親が築いた財産は授かれるものの、自分では富が築きづらい。だから職も結婚も家も求めず、親に依存する暮らしをしてしまう傾向にある。
※週刊ポスト2013年7月12日号