日本人ならば、誰もが一度は苦しむ英会話。ところが皇室の方々は、諸外国の王族や要人と、通訳を介さずとも自然なコミュニケーションができている。
当然、我々と同じ国に暮らし、“英語漬け”の毎日を送っているわけでもないのに、である。そこには、皇室ならではともいえる「学習法」があった。
各国要人とのパーティでは、英語が「公用語」となる。その際の実践的な英会話とその予習が、確実に英語力のアップに結びついていることは疑いない。一方、平時での交流は“文通”になるという。
「陛下が直接、各国の王室と電話でお話しすることは原則ない」(皇室ジャーナリストの神田秀一氏)
通常は宮内庁から外務省を通じて頻繁に手紙がやり取りされる。これも当然、英文だ。これが英作文のこれ以上ない練習となってきた。
「英語習得の2大要素のもう一つが、“絶対的な必要性”。取引先への重要な英語のレターともなれば、単語や文法などの細部に注意を払うはずです」(英語教育者の木下和好氏)
この考え方は、我々の英語学習にも応用できる。確かに、「いつ使うかわからない英語」では学習意欲がわかず、いつの間にか、覚えた単語も忘れてしまう。しかし、「数か月先の海外出張」や「世話になったホームステイ先へのお礼の手紙」ともなれば、必死に勉強するだろう。
皇室には、幼少から自然と英語に触れる環境が備わっている。天皇・皇后や皇太子夫妻が御所の玄関先で、外国からの要人を出迎える光景を見たことのある読者も多いだろう。その際の非公式の場では、英語で談笑する両陛下の傍らで、実は愛子内親王も、片言の英語で挨拶されるという。
本来、公式の場に未成年の皇族が同席することはないが、こうした場を利用して、英語への関心を高めているのだ。
※週刊ポスト2013年7月12日号