6月18日に生まれた長女の名前を、自身のブログでこう報告した、元オセロの松嶋尚美(41才)。この「空詩(らら)」ちゃんの名前を巡って、今、ネット上では大騒ぎだ。
このようなキラキラネーム(個性的だが読むのが難解な名前)が増え始めたのは、1990年代半ば頃からだという。日本の名づけ文化に詳しい京都文教大学教授の小林康正氏がこう説明する。
「その頃、マタニティー雑誌の『たまごクラブ』が、子供の名前に関する特別付録をつけ、個性的な名前を数多く紹介したんです。これが大人気となり、一気に広がるひとつのきっかけになりました」
1993年、「悪魔」と命名された子供に対し、行政がこの出生届を認めなかったように、戸籍法には人名に使える漢字の規定がある。しかし、読み方については特に規定がなく、漢字をどう読ませても親の自由なのだ。だから、本来の読み方とかけ離れた名前をつけても法律上何の問題もないというわけだ。
『たまごクラブ』はそこに目をつけ、宇宙(こすも)や月(るな)など“当て読み”が可能であるということを世間に知らしめたのだ。
ただし、そうした名づけ方が広まった結果、弊害も出てきたという。
教育評論家の石川幸夫氏がこう語る。
「簡単だし、かわいいからという、ペット感覚で名前をつける親が出てきました。子供も独立した人格を持つ、という意識が希薄になって、所有物のような感覚に陥ってしまったようです」
そうやってつけた名前が、将来思わぬトラブルを招くこともある。
「小学校などのお受験では不利になるケースがあります。キラキラネームの場合、“名づけた親は非常識な人間なのでは”という印象を学校側に持たれがちで、名門校になればなるほど敬遠されてしまうんです。名前のことで学校でいじめられ、子供が引きこもってしまった、というケースもありますから」(前出・石川氏)
同様の理由で、就職試験で落とされたり、なかには結婚相手の親から「こんな名前をつけるような親の息子に、娘はやれない」と反対されるケースもあるという。
※女性セブン2013年7月18日号