大人気の連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK総合、午前8時~ほか)。宮藤官九郎氏の脚本の特徴といえば、クスクス笑える小ネタとともに、各所に巧妙な伏線が仕掛けられていること。その伏線が今後、どのように回収されるかが、物語の展開を左右する。
視聴者の心に引っ掛かっているあのシーンは、今後、どう生かされるのか。専門家やファンが解き明かす。震災のシーンは避けて通れないというのが共通の見方だが、上智大学教授(メディア論)の碓井広義氏はさらにその先を読む。
「震災後は、夫婦論、共生論がテーマのひとつになる気がする。春子と正宗(尾美としのり)、離婚と結婚を繰り返している漁協の組合長・六郎(でんでん)とかつ枝(木野花)、そして駅長・大吉(杉本哲太)と安部ちゃん。震災をきっかけに、離れていた元夫婦がすべて元サヤにおさまると思う」
『あまちゃん』では、シーンごとに流れる音楽も何やら意味ありげ。碓井氏は震災後、海女たちが音楽で復興に貢献すると見る。
「弥生(渡辺えり)は歌がすごくうまいし、花巻さんのポップカルチャーに関する知識もすごい。春子も北三陸にいる。海女~ソニックじゃないけれど、北三陸の再生は、海女たちの音楽を軸に展開されていくのでは。
海女たちが浜辺に行く時に必ず流れていた『いつでも夢を』の大合唱で終わる感じかもしれない」
※週刊ポスト2013年7月12日号