お尻の相談はなかなか他人にできるものではない。人に歴史があるように、痔主たちにも、それぞれ苦悶と苦闘のつらい思い出がある。彼らの体験談を赤裸々に語ってもらった。まずは48歳の男性から。
「朝起きたらシーツに血が滲んでいる。痔の市販薬は、自宅だけでなく会社や営業先でも使えるよう、カバンの中に忍ばせるのはもちろん、デスクの引き出しや営業車のダッシュボードにも常備しています」
50代の男性の場合は、酒を飲むと“痔獄絵図”の様相を呈した。
「白ズボンは穿けない。尻の部分だけ日の丸になっちゃう。黒のスーツも出血が乾くと生地がバリバリに。僕の飲み会の正装はというと、数枚のティッシュをお尻に挟み、ぴっちりしたパンツを穿くことです」
ここまで対策を講じないと“ちょっと一杯”の誘いにもつき合えないというから、痔持ちはつらい。44歳の会社員も、長年にわたり痔と闘っている。
「いちばんキツいのはゴルフ。ショットの瞬間に息をつめ、肛門に圧がかかるのがよくないんだろうなあ。ムニュってイボ痔が飛び出るのが自分でわかる。だから、10ホール目ともなると、痛くてクラブを振れない。カートは座れないから中腰。打ち上げの宴会は、酒のせいで症状が悪化するからパス。コンペのたび、ひとり寂しくクラブハウスの風呂に浸っています」
46歳の男性は痔歴20年。これはそのまま、彼の結婚生活と重なる。
「結婚してよかったのは、女房のナプキンを拝借できることです。最近は薄型のうえ、長時間使用できてカブレにくい製品が出てきて助かってます。ナプキンの知識は、僕のほうが女房より上ですよ」
※週刊ポスト2013年7月19・26日号