ビジネス

金利上昇懸念の一方で金融機関では金利引き下げ競争が激化中

 バブル崩壊以降、永らく続いた空前の超低金利時代が、いよいよ幕を閉じようとしている。三井住友銀行など大手行では10年固定の住宅ローン金利がこの7月に1.7%になった。4月以降、0.35%もの上昇である。その背景には、日本国債の長期金利(償還期間1年以上の国債)の乱高下がある。

「日銀は“異次元の金融緩和”を打ち出し、国債を大量に購入すると表明した。それで国債の価格は上がり、金利は下がるはずだった。しかし、同時に政府と日銀が2%インフレを目標に設定したので、逆に金利を上昇させる圧力になった。それで市場が混乱したわけです」(大手証券アナリスト)

 追い討ちをかけたのが、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が6月20日に打ち出した金融緩和の縮小方針だ。それによってアメリカの長期金利は上昇。日本の金利もそれにつられて上昇圧力がさらに高まっている。

 そうした状況の中で、住宅ローンの金利上昇を心配し、固定タイプを選ぶ人が急増している。

 住宅金融支援機構によれば、都市銀行などでは変動金利を選ぶ人の割合は93.8%も占めていた(2011年度)。それが、「5月に入ってから4割程度の人が固定を選ぶようになった」(メガバンク関係者)。地方信金では9割が固定型を選んでいるところもある。

 そうした金利上昇懸念の一方で、金融機関の間では金利引き下げ競争が激化している。

「理由は2つある。来年4月の消費増税前の住宅購入の駆け込み需要を取り込みたいから。もう1つは、これを機に住宅ローンを見直して借り換えようという人が増えると見ているからだ」(同前)

 先手を打ったのは三井住友銀行。6月3日から3年固定0.6%の商品の募集を開始した。従来の1.5%を大きく下回る史上最低金利である。

 続いて三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行も3年0.6%を発表し、三菱UFJは1年0.5%、みずほは2年0.55%と、それぞれ低金利を競い合う。

※週刊ポスト2013年7月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

折田氏(本人のinstagramより)と斎藤知事(時事通信)
《折田楓社長のPR会社》「コンペで5年連続優勝」の広島市は「絶対に出来レースではありません」と回答 斎藤知事の仕事だけ「ボランティア」に高まる違和感
NEWSポストセブン
紅白の
《スケジュールは空けてある》目玉候補に次々と断られる紅白歌合戦、隠し玉に近藤真彦が急浮上 中森明菜と“禁断”の共演はあるのか
女性セブン
騒動の中心になったイギリス人女性(SNSより)
《次は高校の卒業旅行に突撃》「1年間で600人と寝た」オーストラリア人女性(26)が“強制送還”された後にぶちあげた新計画に騒然
NEWSポストセブン
中井貴一
中井貴一、好調『ザ・トラベルナース』の相棒・岡田将生の結婚に手を叩いて大喜び、プライベートでゴルフに行くほどの仲の良さ 撮影時には適度な緊張感も
女性セブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
《バーキン、ヴィトンのバッグで話題》PR会社社長・折田楓氏(32)の「愛用のセットアップが品切れ」にメーカーが答えた「意外な回答」
NEWSポストセブン
小沢一郎・衆院議員の目には石破政権がどう映っているのか(本誌撮影)
【小沢一郎氏インタビュー】自民党幹部に伝えた石破政権の宿命「連立をきちんと組まない不安定な政権では有権者に迷惑、短命に終わる」
週刊ポスト
東北楽天イーグルスを退団することを電撃発表し
《楽天退団・田中将大の移籍先を握る》沈黙の年上妻・里田まいの本心「数年前から東京に拠点」自身のブランドも立ち上げ
NEWSポストセブン
妻ではない女性とデートが目撃された岸部一徳
《ショートカット美女とお泊まり》岸部一徳「妻ではない女性」との関係を直撃 語っていた“達観した人生観”「年取れば男も女も皆同じ顔になる」
NEWSポストセブン
草なぎが主人公を演じる舞台『ヴェニスの商人』
《スクープ》草なぎ剛が認めた「19才のイケメン俳優」が電撃メンバー入り「CULENのNAKAMAの1人として参加」
女性セブン
再ブレイクを目指すいしだ壱成
《いしだ壱成・独占インタビュー》ダウンタウン・松本人志の“言葉”に涙を流して決意した「役者」での再起
NEWSポストセブン
ラフな格好の窪田正孝と水川あさみ(2024年11月中旬)
【紙袋を代わりに】水川あさみと窪田正孝 「結婚5年」でも「一緒に映画鑑賞」の心地いい距離感
NEWSポストセブン
司忍組長も傘下組織組員の「オレオレ詐欺」による使用者責任で訴訟を起こされている(時事通信フォト)
【山口組分裂抗争】神戸山口組・井上邦雄組長の「ボディガード」が電撃引退していた これで初期メンバー13人→3人へ
NEWSポストセブン