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不動産は「今」を買うのではなく土地の「歴史」から買うべき

 今はアベノミクス効果でデフレ脱却を果たし、資産インフレの時代が到来する前夜。インフレになれば住宅価格は値上がり、大きな出費をして買ったマイホームを高値で売ったり貸したりすることもできる。

 住宅の資産価値を守るためには、「都心」「駅近」といった人気のエリアを選ぶべきと思われがちだ。

「ただし、好立地の物件はどうしても価格が高い。ましてや今後の人口増を見越して物件の大量供給があれば、将来的に値崩れを起こしやすいという側面もある」

 そう指摘するのはファイナンシャルプランナーの藤川太氏(家計の見直し相談センター)だ。単に「人気のエリア」だという理由だけでは、本当に資産価値の落ちない街は選べない。

『東京のどこに住むのが安心か』(講談社刊)の著者で、財営コンサルティング代表の山崎隆氏は、「人気エリアやアベノミクスによる地価上昇といった“瞬間風速”だけに踊らされるべきではない」と、こうアドバイスする。

「不動産は『今』を買うのではなく、土地の『歴史』から買うものであるという視点を持ってほしい。住宅地として歴史のある街には長く住まれ続けるだけの理由がある。そのようなエリアは今後も高い価値を維持し続けるでしょう。

 例えば、十分な土木技術のない明治時代に蒸気機関車が走っていたような路線は地盤も固い。具体的には、JR中央線や山手線、あるいは東急東横線や小田急線、京王線沿線などが注目です」

 現在、人気が殺到しているのが湾岸エリアの高層マンションだ。交通の便の良さに加え、ステータスシンボルの度合いが高く、高層階の展望の良さには誰もが憧れを抱く。

 しかし、東日本大震災時には液状化に見舞われ、エレベーターの停止によって高層階に住む人の避難やその後の生活が大変だったことは記憶に新しい。今後、いつそういった「想定外」の災害に見舞われないとは限らない。

 マイホームの資産価値の面でも「3・11」を機に「安心」がキーワードになった。ハザードマップなどを参考に、自然災害リスクが少ない街に住むことは重要な条件なのだ。

※週刊ポスト2013年7月19・26日号

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