2008年に小学生だった少年の自転車にはねられ、意識が戻らない状態となった女性の家族らが少年の親を相手どって賠償を求めた裁判で、神戸地裁は被害者側へ約3500万円、保険会社へ約6000万円の計9500万円を支払うよう命じた。
免許を必要とせず、誰でも簡単に乗れてしまう自転車。道路交通法では「軽車両」にあたり、事故を起こせば当然、刑事と民事の両方で責任を問われることとなる。13才以下の少年であれば、刑事責任を問われることはないものの、今回のように相手にケガを負わせてしまったり、死亡させた場合には、民事では加害者側に損害賠償の義務が発生する。交通事故に詳しい長瀬佑志弁護士が説明する。
「被害者が死亡してしまった場合には、遺族は被害者が生きていれば得られたであろう額に慰謝料を合わせた金額、重度障害が残った場合は、一生涯にわたる介護費用の額などを加害者が負担する責任が生じてしまいます。もちろん今回のような収入のない未成年の場合は、加害者の親が代わりに支払うことになります」
いちばんの被害者は当然、重度の障害を負ってしまった被害者とその家族や関係者であることは、いうまでもない。だが、自分の子供がこうした事故の加害者にならないと断言できるだろうか。突然、迫られる「超高額賠償」責任に親たちはどう備えることができるのか。
「万が一、事故の加害者となってしまう場合の備えとして一般的なのは、“個人賠償責任保険”です。これは他人にケガをさせてしまったり、他人のモノを壊したことで、法律上の賠償責任が発生した時に支払われる保険です」(前出・長瀬弁護士)
傷害保険や火災保険の特約として契約することが多い個人賠償責任保険。たとえば、損保ジャパンの傷害総合保険「いちおしくん ファミリープラン」に契約していた場合、月々4000円の保険料で一家全員の入院、通院費が補償されるほか、1億円まで賠償金を補償してくれる。
また、昨今の自転車ブームやそれに伴う事故の増加により、「自転車」に特化した保険も少なくない。さらには、こんなお手軽な方法も。
「サイクリングショップで、自転車の点検や整備を受けると、『TSマーク』というシールを貼ってもらえるんですが、これも立派な保険です。費用は1000円ほど。1年間有効で、最大2000万円の賠償金を補償してくれるほか、事故によって、被保険者が死亡または後遺障害が残った場合には100万円を補償してくれます」(前出・長瀬弁護士)
※女性セブン2013年7月25日号