海外旅行に行く際、日本円から外貨へ両替する必要に迫られるが、FX(外国為替証拠金取引)口座を使えば、銀行窓口よりお得に外貨両替をする方法があるという。FXの裏ワザ活用術をカリスマトレーダー・羊飼い氏が解説する。
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FX取引はやらないという人でも、口座を持っておくと便利なことがある。「現受け」あるいは「現引き」といわれるサービスを使えば、銀行よりもおトクに外貨の両替ができるのだ。
海外旅行や出張などの際、多くの人は事前に銀行窓口や外貨両替ショップで両替したり、出発前に空港の両替所を利用するだろう。しかしこの場合、実はかなり不利なレートでの両替を余儀なくされている。
たとえば、ある都市銀行の窓口で米ドルに両替する場合、「仲値」と呼ばれるその日の基準レートに3円プラスしたレートが適用される。仲値が100円の場合、1ドルを現金で受け取るには103円も支払わなければならないのだ。
それでも米ドルならまだマシなほうで、ユーロの場合は6円、豪ドルなら9円50銭、ポンドにいたっては11円も上乗せされてしまう。たとえば豪ドルの仲値が100円の日に1000豪ドルを両替する場合、9500円が実質的な手数料として上乗せされることになる。ただでさえ円安が進む中で、旅行者にとっては痛い出費だ。
これに対し、FX会社の現受けサービスを利用すれば大きくコストを抑えられる。実際のトレードに適用されているレートで両替できるケースが多いからだ。しかも、銀行の仲値は原則として丸1日同じレートが適用されるのに対し、FX会社の取引レートは常に変動しているので、有利なタイミングを狙って両替することも可能だ。
FX口座で現受けするには、まず両替したい外貨のロング(買い)ポジションを建て、現金化するのに必要なだけの証拠金を追加し、現受け申し込みをすれば、銀行の外貨預金口座に送金されるしくみだ。なかにはマネーパートナーズのように空港で直接外貨の受け取りができるところもある。旅行者には非常に便利なサービスだ。
たとえば、米ドルが100円のときに1000ドル両替する場合、銀行窓口では10万3000円かかるが、マネーパートナーズの空港受取サービスを利用すれば10万700円と、2300円得する計算になる。
米ドル以外の通貨になると銀行の手数料がさらに高額なので、FXの現受けを利用した際のお得度はより高まる。英ポンドが150円のときに1000ポンド両替する場合、銀行窓口なら16万1000円必要なのに対し、マネーパートナーズなら15万700円と1万円以上の差が出るのだ。
ただし、FX口座で現受けする場合は別途手数料が必要になるところがあるうえ、空港受取サービスを除けば外貨を受け取るために国内の銀行の外貨預金口座を開設する必要がある。この場合、銀行のなかにはFX会社からの送金を受け付けるための手数料(被仕向送金手数料、リフティングチャージなど)がかかるところもあるので注意したい。
また、銀行の外貨預金口座から外貨を引き出す際にも手数料がかかるので、少額の取引だと不利になることもある。これらの手数料は利用するFX会社や外貨を受け取る銀行によって異なるので、事前に確認しておきたい。
(連載「FXトレンドフォーキャスト」より抜粋)
※マネーポスト2013年夏号