ビジュアル系バンドが好きな女性は、通称「バンドギャル」「バンギャル」「バンギャ」などと呼ばれる。彼女たちはライブの演奏中に、独特の振り付けや愛情表現でアーティストを煽ることを生き甲斐としている。
ゴールデンボンバーの歌広場淳(Be-su担当)がバンギャル特有の「振り」を取り入れた「振り付け動画」をYouTubeに公開するなど、バンド側がバンギャルの動きを取り入れた「振り」を作るケースもある。
たとえば、激しい曲でドラムのリズムにあわせて頭を振りまくる【ヘドバン】は有名だが、“頭を振るなんてイヤ!”という姫系バンギャルのためには、手のひらをバタバタとさせてヘドバンの代理行為とする【手バン】がある。
ほかにも、拳を自身の身体に引き寄せながら、ステージに向かって前のめりになる【逆ダイ(逆ダイブ)】や、阿波踊りのような格好で回転しながらファン同士がおしくらまんじゅうをする【モッシュ】など様々。
なかでも【咲く(咲き)】という行為は押さえておきたい。【咲く】とは、甘く黄色い声援で「○○サマァ~」と好きなメンバーの名前を叫び、身体全身をつかって咲き乱れるという「求愛行為」のこと。硬派なバンドの中には、この【咲き】を禁止するバンドもある。
バンギャル歴9年の女子大生・Aさん(22歳)は、マイナーバンドの常連ファンで、新曲が出るたびに「振り」を考えるという。自分が考えた「振り」が他のファンに広まり、バンド公認の振り付けになることが一番の楽しみだと話す。
「ひたすらバンドマンを追いかけて来たので、今では中堅どころから大御所のバンドマンの飲み会にも呼ばれるようになりました。私はバンドマンと付き合いたい一心で追いかけている、“狙い”と呼ばれるタイプのファンです。
大抵バンドマンは常連のファンやバンギャルとは付き合いたがらないので、自分はバンギャルであることを隠して参加しています。でも、普段『○○サマァ~』と咲いている相手を目の前にすると、思わずテンションあがって咲いてしましそうになりますよね。
気づいたら、最近は自分の家の犬にまで咲いてしまう始末……。バンギャルに命かけすぎて、咲く以外の愛情表現が分からなくなってる自分自身が正直怖いです」